セッション情報 パネルディスカッション4

FDの亜分類と治療選択

タイトル PD4-12:

機能性ディスペプシア患者に対するacotiamideの使用経験

演者 山田 真也(京都第一赤十字病院消化器内科)
共同演者 鈴木 隆裕(京都第一赤十字病院消化器内科), 吉田 憲正(京都第一赤十字病院消化器内科)
抄録 【はじめに】機能性ディスペプシア(FD)の病態には胃運動障害,内臓知覚過敏,心理的要因などが複合的に関与しているとされているが,いまだ症状出現のメカニズムは明らかではなく,確立された治療戦略が存在しないのが現状である.その中で,2013年6月より本邦にて承認されたacotiamideは胃運動促進を目的として合成された薬剤であり,食後愁訴症候群(PDS)治療薬として高い期待が集まっている.【目的】PDS優位のFD患者に対するacotiamideの有用性を検討する.【対象と方法】Rome III基準でPDSと診断された患者のうち,acotiamideの投与に同意を得られた患者21名を対象に,投与前,投与2週間後,4週間後の臨床症状の推移をFスケールとGSRS尺度スコアの全消化管症状,酸逆流,腹痛,消化不良の項目変化で評価した.なお,acotiamide投与前に処方されていた薬剤は継続投与とした.【結果】Fスケールの平均値はacotiamiode投与前14.7点から投与4週間後は8.3点まで改善していた.また,全消化管症状におけるGSRS尺度スコアも投与前2.41から投与4週間後1.6まで改善していた.Fスケールで心窩部痛症候群(EPS)症状,PDS症状について投与前,投与4週間後の平均値は,それぞれ5.9点→2.8点,8.9点→5.6点と両症候群の症状で改善傾向にあった.GSRS尺度スコアの酸逆流,腹痛,消化不良の項目変化についても,各々,2→2.5,2.5→1.7,2.7→2と酸逆流症状を除いては改善していた.【結語】症例数は少ないもののacotiamideはPDS優位のFD患者の自覚症状を改善した.AcotiamideはPDS症状だけでなく,EPS症状も改善する可能性が示唆された.なお,発表に際してはacotiamideの長期投与成績も報告したい.
索引用語