セッション情報 パネルディスカッション5

薬剤起因性下部消化管粘膜傷害―基礎と臨床のUpdate―

タイトル PD5-6:

薬剤起因性Collagenous colitis症例の検討

演者 山崎 健路(岐阜県総合医療センター消化器内科)
共同演者 篠原 知明(佐久総合病院胃腸科), 清水 誠治(JR大阪鉄道病院消化器内科)
抄録 【緒言】Collagenous colitis(CC)の発症の原因は未だ不明であり,本邦ではPPI(Proton Pump Inhibitor)に起因する症例が多いとされるが,その他にもNSAIDsやSSRI(Selective Serotonin Reuptake Inhibitor)がCCの発症との関連が強いとされる.また近年では慢性下痢以外の症状で発症する症例の報告も散見される.【対象】当院および関連施設,佐久総合病院胃腸科,JR大阪鉄道病院消化器内科において大腸内視鏡検査にて診断されたCC症例74例について服用薬剤,臨床像について検討した.【結果】平均年齢68.6歳.男女比は27対47.74例中60例(81.2%)がPPIを服用していた.LPZ(Lansoprazole)服用例56例中40例(71.4%)がCYP3A4で代謝される薬剤を併用していた.その内訳はカルシウム拮抗薬28例が最も多かった.LPZ非服用患者は74例中14例(18.9%)で,誘因薬剤としてはNSAIDs 5例,SSRI 2例,チクロピジン1例であり,6例は薬剤との関連は不明であった.LPZ起因性CC症例に特徴的とされる縦走潰瘍は,LPZ起因性CC症例56例中16例(28.6%)に認められた.16例中7例はNSAIDsも服用していた.縦走潰瘍の発症部位は左半結腸に多い傾向が認められた.縦走潰瘍を呈した症例のうち,LPZ非服用患者は3例認められ,1例はNSAIDs,1例はSSRIがCC発症の誘因と考えられた.下痢症状を呈さなかった患者は5例認められ,うち2例は強い腹痛症状を契機として診断された.3例は無症状であった.【考察】LPZ起因性CC症例の71.4%にCYP3A4で代謝される薬剤の併用が認められ,LPZの代謝阻害によりCCが発症している可能性が考えられた.LPZ以外の薬剤が誘因となって発症するCCも僅かながら認められた.【結語】本邦ではPPI起因性CCが最も多いとされるが,NSAIDsやSSRIなど,PPI以外の薬物によるCC発症の可能性も常に念頭に置く必要がある.また慢性下痢以外の臨床像を呈する症例についても,CCを鑑別疾患の一つとして疑って診療を行うことが重要である.
索引用語