セッション情報 |
パネルディスカッション5
薬剤起因性下部消化管粘膜傷害―基礎と臨床のUpdate―
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タイトル |
PD5-8:Aspirin起因性小腸粘膜傷害の機序解明ならびに予防薬の検討
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演者 |
福居 顕文(京都府立医科大学北部医療センター消化器内科学) |
共同演者 |
内藤 裕二(京都府立医科大学消化器内科), 伊藤 義人(京都府立医科大学消化器内科) |
抄録 |
背景,目的:低用量aspirin(ASA)起因性小腸粘膜傷害の機序解明ならびに予防薬の確立は急務である.我々は,発症初段階において,小腸上皮細胞内ミトコンドリアで産生亢進するsuperoxideが,tight junction(TJ)構成蛋白質の一つであるZO-1蛋白質を特異的に酸化修飾し,その機能が障害され,上皮細胞透過性の亢進が引き起こされることを明らかにした(Am J Phsiol. Gastrointest Liver Physiol.2012).今回,抗酸化作用(hydroxyl radical産生抑制ならびにミトコンドリアでsuperoxideを消去する酵素であるMnSODの発現を強化)を有す薬剤である胃粘膜保護薬rebamipide(reb)を用い,その予防薬としての有用性について明らかにする.方法:in vivo:9週齢SD系雄性ラットを用い,ASA200mg/body十二指腸投与群とASA投与1時間前にreb(30mg/kg)経口投与したASA+reb群とで1.Evans blueを用い,小腸粘膜傷害を比較した.2.FITC-Dextran(分子量4000:FD4)を用いて,透過性を比較した.3.TJ構成蛋白質の発現をwestern blottingで比較した.in vitro:小腸上皮細胞として分化Caco-2細胞を用い,細胞死を惹起しない濃度のASA(10mM)を用い,ASA添加群とASA+reb添加群とで4.Transwell上に培養したCaco-2に対し,FD4を用いて透過性を比較した.5.TJ構成蛋白質の経時的発現変化をwestern blottingで比較した.結果:in vivo:ASAは上部小腸を中心に粘膜傷害を認めたが,rebはASA起因性1.小腸粘膜傷害を抑制した.2.粘膜透過性亢進を抑制した.3,ZO-1発現低下を抑制した.in vitro:設定濃度のASA添加では,細胞死非依存性の4.FD4の透過性亢進5.ZO-1の発現の低下を認めたが,rebによりこれらの反応が抑制された.結論:Rebamipideはaspirin起因性小腸粘膜傷害の予防薬として有用である可能性が示唆された. |
索引用語 |
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