セッション情報 |
パネルディスカッション5
薬剤起因性下部消化管粘膜傷害―基礎と臨床のUpdate―
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タイトル |
PD5-10:celecoxib単剤投与はloxoprofenとlansoprazoleの同時投与と比較して小腸潰瘍性病変が少ない:二重盲検無作為化プラセボ比較対照試験
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演者 |
藤森 俊二(日本医科大学消化器内科学) |
共同演者 |
花田 隆造(医療法人相生会墨田病院), 坂本 長逸(日本医科大学消化器内科学) |
抄録 |
【目的】米国でCOX-2選択的阻害剤による小腸病変は通常型NSAIDsより少ないことが報告されている.本邦で頻用されている通常型NSAIDsであるloxoprofen(LOX)と比較してCOX-2選択的阻害剤であるcelecoxib(CEL)が小腸病変を抑制するのか追証することが本試験の目的である.【方法】同意が得られた150例の健常成人に対して,採血等の検診で異常がないことを確認後カプセル内視鏡(CE)を施行した.全例を無作為にCEL 200mg/dayを投与するCEL群と,LOX 180mg/dayとNSAIDs起因性上部消化管傷害を予防するためにlansoprazole 15mg/dayを同時投与するLOX群に分けた.薬剤はカプセルに充填しプラセボを用意した.薬剤投与は14日間行い,投与終了後再びCEを施行した.前後すべてのCEデータは匿名化され,3名の読影医によって評価を行い,読影医間で合意を形成してデータを統一後,key openを行った.CEで全小腸を観察し得た被験者について,投薬前後の小腸粘膜欠損数および有小腸粘膜欠損被験者割合を比較した.本試験は当大学倫理委員会および医療法人相生会倫理委員会の承認を得ている.【結果】CEL群74例(49±6歳;M/F:38/36)例ではCEが盲腸に未到達などで5例が脱落し69例,LOX群76例(49±7歳;M/F:37/39)では4例が脱落し72例が解析対象となった.粘膜欠損数は,CEL群で投薬前0.2±1.1,投薬後0.3±1.0でLOX群の投薬前0.4±1.8,投薬後6.8±21.5と比較し,CEL群で有意に少なかった(P<0.0001).投薬後の有粘膜欠損例はCEL群7例(10%)と比較しLOX群35例(49%)で,同様にCEL群で有意に少なかった(P<0.0001).【結論】2週間のCEL服用で生ずる粘膜欠損数は,LOXとlansoprazoleの同時投与と比較して有意に少なかった.【開示】本試験はファイザー株式会社から研究資金を得ている.また,CE読影者として杏林大学の林田真理,国立国際医療研究センター病院櫻井俊之両先生の協力を得ている. |
索引用語 |
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