セッション情報 パネルディスカッション6

IBS病態研究の進歩と本邦における臨床実態―ベンチからベッドサイドまで

タイトル PD6-3:

過敏性腸症候群における脳腸ペプチドの遺伝子多型の解析

演者 千葉 俊美(岩手医科大学消化器内科消化管内科)
共同演者 菅井 有(岩手医科大学分子診断病理学), 松本 主之(岩手医科大学消化器内科消化管内科)
抄録 【背景】脳腸ペプチドのcarcitonin gene related peptide(CGRP),内臓知覚と関係があるtransient receptor potential vanilloid-1(TRPV1)および胃の運動機能に影響していると考えられている.Transcription factor 7-like 2(TCF7L2)と消化管機能異常との相関については明らかでない.【目的】CGRP,TRPV1およびTCF7L2遺伝子多型とIBS(irritable bowel syndrome)およびIBSのサブグループとの関係について検討した.【対象】ROMEIII基準を満たすIBS患者108例(男性53例,女性55例,平均59.2歳)と,コントロール群として,便通異常のない健常人61例(男性31例,女性30例,平均63.3歳)を対象とした.【方法】IBS患者およびコントロールから採取した末梢血液中のDNAを抽出および精製し,各遺伝子部位をPCR-RFLPにより特異的に増幅し,制限酵素により切断してそのパターンよりgenotypeを決定した.CGRP,TRPV1,TCF7L2遺伝子多型とIBS患者との関係を,年齢,性別,罹病期間,IBSサブグループ(下痢型,便秘型,非下痢非便秘型)について,統計学的に解析した.【結果】CGRP遺伝子多型:IBS群とコントロール群,IBSサブグループ,性別,年齢,罹病期間で有意差は認められなかった.TRPV1遺伝子多型:IBS群とコントロール群,IBSサブグループ,性別,罹病期間では有意差は認められなかったが,IBSの65歳未満群と65歳以上群でC/C型および(G/C+G/G型)において有意差を認めた(P<0.05).TCF7L2遺伝子多型:IBS群とコントロール群,IBSサブグループ,性別,年齢,罹病期間で有意差は認められなかった.【結論】TRPV1遺伝子多型のうちG/C+G/G型はIBS患者の年齢に関連している可能性が示唆された.
索引用語