セッション情報 パネルディスカッション6

IBS病態研究の進歩と本邦における臨床実態―ベンチからベッドサイドまで

タイトル PD6-10:

CTコロノグラフィーによる過敏性腸症候群の検討

演者 米野 和明(埼玉医科大学総合診療内科)
共同演者 大庫 秀樹(埼玉医科大学総合診療内科), 今枝 博之(埼玉医科大学総合診療内科)
抄録 【目的】過敏性腸症候群(IBS)は機能性胃腸障害のひとつで,器質的疾患がないものの,さまざまな要因との関連が指摘されている.水上らはIBS患者に対してCTコロノグラフィーを用いた大腸の腸管形態異常を報告している.今回,われわれはIBS患者にいて大腸内視鏡検査終了後にCTコロノグラフィーを施行することにより大腸の形態について検討した.【対象と方法】対象はIBS-D患者(IBS-D群)6例とIBS-CおよびIBS-M患者(IBS-C+M群)7例,弛緩性便秘患者(便秘群)6例と,対照として大腸癌患者(対照群)8例とした.男女比は13:14で,平均年齢は69歳であった.CO2送気による大腸内視鏡検査終了後に引き続きCTコロノグラフィーを施行した.大腸全体および直腸とS状結腸(R+S),横行結腸(T)の各長さを比較検討した.さらに腸管径を各部位で比較検討した.また,腸管の屈曲数をSとTにおいて比較検討した.【成績】大腸全体の長さおよびR+Sの長さは対照群,IBS-D群,IBS-C+M群,便秘群で160cm,173cm,178cm,195cmで対照群と比べてIBS-C+M群と便秘群で長い傾向にあった.R+Sの長さは59cm,63cm,66cm,89cmと便秘群で長く,Tの長さは48cm,44cm,61cm,52cmとIBS-C+M群は対照群とIBS-D群に比べて有意に長かった.Sの腸管径は39.4mm,35.4mm,41.9mm,52.5mmと便秘群は対照群とIBS-D群に比べて有意に大きかった.また,Rの腸管径はIBS-D群(52.5mm)において対照群(62.9mm)より小さい傾向にあった.屈曲数はSでは各群において差を認めなかったが,TではIBS-C+M群(3.9)は対照群(2.8)に比べて多い傾向がみられた.【結語】IBSのsubtypeにより腸管の長さや腸管径,屈曲数に異なる傾向がみられ,IBSの病態の解明に寄与する可能性が考えられた.
索引用語