セッション情報 |
パネルディスカッション6
IBS病態研究の進歩と本邦における臨床実態―ベンチからベッドサイドまで
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タイトル |
PD6-11:大腸CT検査により測定した大腸の長さと排便習慣に関する検討
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演者 |
歌野 健一(福島県立医科大学会津医療センター小腸大腸肛門科) |
共同演者 |
永田 浩一(亀田京橋クリニック), 冨樫 一智(福島県立医科大学会津医療センター小腸大腸肛門科) |
抄録 |
【目的】経験豊富な大腸内視鏡医は,大腸の長さが排便習慣に関係すると直観できるが,従来,これを実証した報告はなかった.生体において大腸の長さを正確に測定するツールがなかったためである.しかし,大腸CT検査の登場により,CT撮影情報から大腸を立体的に再構築し,大腸の長さを正確に測定できるようになった.本研究では,大腸CT検査により測定した大腸の長さと排便習慣の関係について,他の交絡因子も含めて検討した.【方法】本研究では,便潜血陽性者321人を対象に前向きに行った多施設共同研究のデータをサブ解析した.大腸癌手術の既往例,腸管拡張不良例,進行癌例は除外し,295人を本研究の対象とした.排便習慣は,排便回数により,A群:毎日,B群:3日に1回以下,C群:それ以外,の3群に分類し,各群の大腸の長さについて検討した.この際,年令,性別,身長,体重,Body Mass Index,開腹歴を交絡因子として用いた.統計処理は,多重比較となるため,まずANOVAにより解析し,各群の比較はBonferroni法により行った.【成績】295人の平均年令は,58.1±11.1歳であり,男154人・女141人であった.腸管長は,A群(n=189):147.4±17.9cm,B群(n=38):158.6±18.3cm,C群(n=68):166.4±99.6cmであり(p=0.023),A-C群間で有意差(p=0.024)がみられたが,A-B群間,B-C群間では有意差はなかった.年令(p=0.45),性別(p=0.73),身長(p=0.51),体重(p=0.51),Body Mass Index(p=0.95),開腹歴(p=0.14)では,統計学的有意差が認められなかった.【結語】排便習慣と大腸の長さが関係することが示された.特に,過敏性腸症候群が多く含まれていると考えられるC群で,大腸の長さが最長であった.大腸の長さは,過敏性腸症候群の病態を解明する「新たな切り口」となることが期待される. |
索引用語 |
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