セッション情報 パネルディスカッション6

IBS病態研究の進歩と本邦における臨床実態―ベンチからベッドサイドまで

タイトル PD6-12:

機能性消化管障害(FGID)の慢性特発性便秘症(CIC)・便秘型過敏性腸症候群(IBS-C)に対するルビプロストン(Lubi.)の選択基準とその有用性

演者 岩本 史光(山梨大学医学部第1内科)
共同演者 植竹 智義(山梨大学医学部第1内科), 榎本 信幸(山梨大学医学部第1内科)
抄録 【目的】2006年5月にRome IIIによりFD(B1a.B1b)・IBS(C1)やCIC(C3)が定義されたが,CICの治療は2012年11月にLubi.の登場まで,機械的・刺激性下剤しか治療選択がなかった.今回,CICおよびIBS-Cに対し,2013年3月採用後からLubi.の治療効果,選択基準を検討する.【方法】当院にて2009年6月から2013年10月までにFGIDと診断された361例中,Lubi.を処方された25例(CIC 19例・IBS-C 6例),男/女:11/14,平均年齢67歳,平均観察期間3.7ヶ月.1.内服継続率と中止理由2.治療効果評価として下剤変更・減薬率.ブリストルスケールによる便性状変化.3.安全性の評価として副作用発症率と症状.4.全般評価として1ヶ月後の治療効果満足度(症状消失,満足に改善,改善なしの3段階で評価)を検討した.【結果】内服継続率は継続11例(44%),頓用内服2例(8%),中止12例(48%).中止原因は副作用7例(28%),効果なし4例(16%),軽快1例(4%)であった.症状改善による下剤変更・減量成功率は,刺激性下剤の使用率は25例(100%)から9例(36%),機械的下剤は10例(40%)から4例(16%).ブリストルスケールでも良好に軟便化を認めた.副作用7例(28%)中,胃腸症状5例(20%),心臓障害(動悸)2例(8%).治療効果満足度は「症状消失」10例(40%)「満足に改善傾向」7例(28%),「改善なし」8例(32%).【結論】治療効果満足度は68%に改善を認め,また刺激性下剤の60%を減薬できた.副作用発生率は28%と高率で,既知の報告と同様に胃腸障害が高頻度(20%)で,動悸などの明らかに中止となる心臓障害も高率(8%)であった.今後の高齢化,全身合併症の増加とともに,今以上に便通障害に苦しむ症例は増加する.耐性・習慣性を惹起する腸管刺激性剤下剤の減薬の可能性があり,IBS-Cにも良好なQOLが期待できるようになった.
索引用語