セッション情報 パネルディスカッション6

IBS病態研究の進歩と本邦における臨床実態―ベンチからベッドサイドまで

タイトル PD6-13:

機能性腸障害の実態調査

演者 大野 正芳(北海道大学消化器内科)
共同演者 加藤 元嗣(北海道大学光学医療診療部), 坂本 直哉(北海道大学消化器内科)
抄録 【背景】機能性腸障害は腹痛,不快感,便通異常などの症状が慢性,再発性に起こる疾患でFGIDsでは5つの疾患に分類されている.臨床的には診断が困難な場合が多く,RomeIII基準に基づいた機能性腸障害の有病率の報告は少ない.【目的】消化器科受診者での機能性腸障害の有病率を明らかにし,機能性腸障害と内視鏡所見との関連性を明らかにする.【方法】道内25施設の消化器科受診者を対象にRomeIIIの成人FGIDs質問票を用い,機能性腸疾患を診断する.大腸内視鏡施行者については内視鏡所見との関連を検討した.【結果】対象は571例で,278例がFGIDs質問票より機能性腸疾患と診断された.内訳としては過敏性腸症候群(IBS)57例,機能性腹部膨満(AB)106例,機能性便秘48例,機能性下痢21例,非特異機能性腸障害78例,機能性腹痛症候群2例であった(重複を含む).機能性腸疾患と診断されなかった291例をControl群として比較すると,下部消化管内視鏡施行時の疼痛を感じる割合はControl群が26.8%に対しIBS群は42.1%(p<0.05)とIBS群に多く疼痛が認められ,痛みの程度もより強かった.憩室を有する割合もControl群(19.9%)と比較しIBS群(26.3%)(p<0.05)に多く認められた.また,AB群は上行結腸,S状結腸共にControl群と比較し長い傾向があった.(上行結腸過長:Control群16.0% vs AB群24.8%,S状結腸過長:Control群22.2%vsAB群33.3%)【結論】RomeIII診断基準による機能性腸疾患の分類は,内視鏡的な所見と関連があることが明らかとなった.
索引用語