セッション情報 パネルディスカッション6

IBS病態研究の進歩と本邦における臨床実態―ベンチからベッドサイドまで

タイトル PD6-15:

発症年齢からみた併存疾患―大学心療内科外来受診者での検討―

演者 金子 宏(星ヶ丘マタニティ病院内科)
共同演者
抄録 【背景】過敏性腸症候群(IBS)に精神的偏倚(精神疾患)が高率に併存すること,また併存するうつや不安状態が受診行動に関与することが報告されている.一方,精神疾患が併存している場合は通常治療に抵抗することが高率で,難治例は心療内科を含む専門施設で診療されることが多い.しかし,受診時における併存疾患を発症年齢から検討した報告は見られない.発症年齢が低いほど併存疾患が多く,重篤であるという仮説を検証した.【方法】大学附属病院の心療内科外来を2007年2月から2010年6月の3年4カ月間に紹介受診した連続症例315名であり,消化器内科および心療内科の専門性をもつ医師と臨床心理士資格を有するカウンセラーが診療した.心身症86名の内,Rome III基準でIBSと診断された38名(男性13名;平均年齢35歳)を対象とした.IBS(様症状)発症年齢は医療面接時に医師(演者)が詳細に聞き取り判定した.精神疾患を含む併存疾患については,医療面接,インテイク面接,心理査定,カンファレンスで診断した.【結果】38名のIBS患者のうち,学生時代(小学校~大学)に発症した症例は24例であり,小学生発症3例では放屁・自己臭,強迫,中学生発症8例では放屁(5),自己臭(2),発達障害(2),パニック障害,社交不安障害,過活動膀胱,高校生発症6例では緊張型頭痛(2),パニック障害,大学生発症7例ではパニック障害,うつ病,適応障害,摂食障害,放屁,嘔吐恐怖が併存していた.青年期以降の発症例は受診までの期間が学生時代のそれに比べ短く,うつ病(4),双極性障害,パニック障害,適応障害,外出恐怖,緊張型頭痛,過活動膀胱,不眠,機能性ディスペプシアが併存していた.【結語】仮説は肯定され,IBSの発症年齢からより重篤な併存疾患の存在を推定できる可能性が示唆された.すなわち,発症年齢を詳細に問診することは治療戦略に重要であると思われる.学童期の発達段階における精神疾患発症危険性の視点から,学童期発症のIBSの自然経過に関する研究と治療的介入の有用性についての研究が必要であると考える.
索引用語