セッション情報 パネルディスカッション7

カプセル内視鏡の臨床応用,新たな展開

タイトル PD7-1:

原因不明の消化管出血患者における便潜血検査の意義に関する検討

演者 小林 由佳(東京大学・消化器内科)
共同演者 山田 篤生(東京大学・消化器内科), 小池 和彦(東京大学・消化器内科)
抄録 【背景・目的】便潜血検査は大腸癌のスクリーニング検査として広く利用されている.一方,便潜血検査と小腸疾患の関連性についての報告は未だ少ない.今回我々は,カプセル内視鏡検査(capsule endoscopy:CE)を用いて,原因不明の消化管出血(obscure gastrointestinal bleeding:OGIB)症例における便潜血検査(fecal occult blood test:FOBT)の臨床的意義について検討した.【方法】対象は2008年2月から2013年8月までに,当院でCEを施行したOGIB症例のうち,便潜血検査を施行した202例である(男性118例,平均年齢63.6±14.0才,previous overt OGIB 96例,occult OGIB 106例).カプセル内視鏡はGiven Imaging社のPillcam SBまたはSB2を使用した.読影は2人以上の内視鏡医が独立して行い,結果を照合して最終診断とした.CE施行当日もしくは施行前に,FOBT(免疫法)を原則2回行った.FOBTのカットオフ値は100 ng/mlとした.Occult OGIB症例とprevious overt OGIB症例それぞれにおいて,FOBT陽性群とFOBT陰性群に二分し,小腸病変有所見率を比較した.【結果】小腸有意病変の有所見率は36%,FOBT陽性率は50%であった.FOBT陽性群における小腸有意病変有所見率は46%(100例中46例),FOBT陰性群では25%(102例中26例)であり,有意差を認めた(P=0.002).活動性出血や潰瘍の頻度が,FOBT陰性群より陽性群で有意に高かった.Occult OGIB症例では,FOBT陽性群における小腸有意病変有所見率は45%(55例中25例),FOBT陰性群では18%(51例中9例)であり,FOBT陽性群で有意に高かった(P=0.002).一方,previous overt OGIB症例では,FOBT陽性群における小腸有意病変有所見率は47%(45例中21例),FOBT陰性群では33%(51例中17例)であり,両群間で有意差を認めなかった(P=0.18).【結論】occult OGIB症例において,FOBT陽性は小腸病変の予測因子となり得ると思われた.
索引用語