セッション情報 パネルディスカッション7

カプセル内視鏡の臨床応用,新たな展開

タイトル PD7-2:

カプセル内視鏡(CE)の適応拡大によってもたらされた新たな知見

演者 光藤 章二(京都九条病院消化器内科)
共同演者 小山田 裕一(パナソニック松下記念病院消化器内科), 竹村 俊樹(学研都市病院内科消化器科)
抄録 適応拡大により小腸の出血性病変以外の症例でCEを施行する機会が増加した.【目的】適応拡大で得られた所見を検査目的別に検討した.【方法】2008年8月より2013年8月までにCE診断ネットワークに登録された528例のうち,適応拡大症例は142例(26.9%)であった.これら適応拡大症例の有所見率と所見内容を検討した.【成績】検査目的は極めて多彩で,有所見率は症例数の多い順に,1)小腸腫瘍の疑い19例(有所見率26.3%),2)慢性下痢16例(6.3%),3)原因不明の腹痛14例(28.6%),4)クローン病の診断および活動性評価13例(69.2%),5)既知病変の病勢フォローもしくは罹患範囲検索13例(69.2%),6)悪性リンパ腫の罹患範囲精査9例(66.7%),7)大腸内視鏡検査時指摘小腸病変の精査9例(88.9%),8)麻痺性イレウス9例(33.3%),9)NSAID胃十二指腸潰瘍の併存病変検索7例(28.6%),10)消化管ポリポーシス7例(100%),11)その他の腹部症状5例(20.0%),12)その他22例(18.2%)であった.5)6)7)10)は小腸病変の存在が既知の症例であり,有所見率は78.9%(30/38)と高く,これらとクローン病を除いた未知病変検索症例の有所見率は21.7%(20/92)で,全体では41.3%(59/143)であった.NSAID胃十二指腸潰瘍では小腸にも粘膜傷害が併存する症例のあることが明らかとなり,麻痺性イレウスでは好酸球性胃腸炎や虚血性小腸炎など比較的まれな疾患が含まれていた.一方,慢性下痢や原因不明の腹痛では軽微なびらんのみで,病態と結び付く病変は認めなかった.また,大腸内視鏡検査時の回腸末端観察もCE施行の一因となっていた.【結論】適応拡大によりCE選択の自由度が増した.CEは既知病変の罹患範囲検索や経時的な活動性評価には極めて有用と考えられた.また,比較的まれな疾患を診断出来る反面,不定愁訴的な病態では明らかな器質的病変は見出だせなかった.
索引用語