セッション情報 |
パネルディスカッション7
カプセル内視鏡の臨床応用,新たな展開
|
タイトル |
PD7-3:カプセル内視鏡による小腸疾患診断の変遷と課題
|
演者 |
馬來 康太郎(日本医科大学消化器内科学) |
共同演者 |
藤森 俊二(日本医科大学消化器内科学), 坂本 長逸(日本医科大学消化器内科学) |
抄録 |
【目的】カプセル内視鏡(CE)は,自主研究使用から2007年にOGIB診断目的,2012年には小腸疾患に対して保険適応となった.この間の小腸疾患の診断治療の変遷を解析し,課題を探ることが目的である.【方法】当院では2004年からCEを行い,2013年7月において臨床使用目的で施行したカプセル内視鏡検査は約750件である.自主研究期間(I期:124件),OGIB適応後小腸疾患保険適応まで(II期:531件),小腸疾患保険適応後現在まで(III期:95件)に分け,検査動機,所見等を比較検討した.【結果】各期で性別・年齢等に有意差はない.検査理由の内訳はI期がOGIB 92件(74%),小腸疾患疑い11件(8%),既存疾患の評価21件(16%).II期が同じく342件(64%),123件(23%),66件(12%).III期が60件(63%),28件(29%),7件(7%).III期小腸疾患疑い症例に対する施行件数が増加した(P<0.001).OGIBの出血形式としては顕性出血が75%,潜在性出血が25%で有意な経年変化はなかった.既存疾患の評価を除いた診断結果はI期が正常範囲25件(22%),小腸出血11件(9%),粘膜障害26件(23%),血管性病変25件(22%),腫瘍性病変24件(21%),II期が同じく162件(36%),40件(9%),115件(26%),66件(14%),59件(13%),III期が22件(25%),11件(12%),28件(32%),18件(20%),7件(8%)であり,腫瘍性病変の診断率低下が著明であった(P<0.001).出血を含めた血管性病変の診断率に大きな変化は認められなかった.また,近年最終的に血管性病変と診断される症例に対して,診断に要するCE回数が増加していた.【結論】診断治療により消化管出血をきたす腫瘍性病変は減少してきていると考えられるが血管性病変に減少は認められず,今後血管性病変に対する診断治療の精度を高める必要がある. |
索引用語 |
|