セッション情報 パネルディスカッション7

カプセル内視鏡の臨床応用,新たな展開

タイトル PD7-4:

医療過疎地域における読影ネットワークの運用とその効果

演者 金子 剛(筑波大学消化器内科)
共同演者 松井 裕史(筑波大学消化器内科), 溝上 裕士(筑波大学消化器内科)
抄録 【背景・目的】当院では2008年10月にカプセル内視鏡(CE)を導入し,県内の小腸疾患の診断に貢献してきた.しかしながら病院間の物理的距離や小腸疾患に対する関心の低さから,その潜在的ニーズにこたえきれていない現状があった.このため我々は患者を初診施設から当院に移動させるのではなく,CE検査に必要な機材を患者のもとへ移動させるという発想転換を基にCE読映ネットワーク(ICE Net)を構築した.本発表では,本ネットワークの概要,運用実績及びそれによって得られた当県における小腸疾患の臨床像を明らかにする.【概要】ICE Netは本院内に設置された本部,CE拠点病院(10施設)および医療機器レンタル会社(A社)の3者から構築される.各々貸借契約(各拠点病院とA社)と読影契約(ICE Net本部とA社)を締結.患者発症の場合,各施設はICE Net本部及びA社にFAXにて検査依頼.3日以内にA社は必要機材(CE本体・データレコーダ)をCE拠点病院に配送.検査終了後にCE病院は機材をICE Net本部に送付.本部は結果を3日以内に依頼病院に返信する仕組みである.【方法】2010年6月から2013年9月までICE Net運用にてCEを施行したl10例を対象に有所見率及び内服薬による所見について検討した.【成績】症例は110例(男/女:68/42・平均62歳).このうち78%に基礎疾患,81%に投薬歴を認める.検査目的は原因不明消化管出血(OGIB)88例(平均65歳),クローン病精査10例(38歳),小腸腫瘍精査5例(57歳),腹痛精査2例(56歳),腸閉塞精査2例(50歳)等であった.有所見率は69%(75/110例),その内訳はびらん・潰瘍性病変37例,腫瘍性病変12例(SMT/ポリープ9例・小腸癌2例等),血管性病変24例(毛細血管拡張16例・活動性出血4例)等であった.【結論・考察】ICE Net運用によって,当県における要CE検査患者群の臨床像が明らかとなった.同群においては,基礎疾患に対する投薬により出血リスクが不可避であるため,今後ますますCE検査が増加することが予想された.これに対応すべく円滑なネットワーク運用が望まれる.
索引用語