セッション情報 パネルディスカッション7

カプセル内視鏡の臨床応用,新たな展開

タイトル PD7-5:

PillCam?パテンシーカプセルによる消化管開通性評価に影響する因子の検討

演者 山村 健史(名古屋大学大学院医学系研究科消化器内科学)
共同演者 中村 正直(名古屋大学大学院医学系研究科消化器内科学), 後藤 秀実(名古屋大学大学院医学系研究科消化器内科学)
抄録 【背景・目的】PillCam?パテンシーカプセル(PC)の臨床導入によってカプセル内視鏡(CE)を主とした小腸疾患診療に新たな展開が得られたが,PC開通性が得られない患者の特徴はまだわかっていない.本研究の目的は,PCの開通に関わる臨床的因子を調べ,PC非開通であった状態の患者の特徴をレトロスペクティブに検討することである.【対象・方法】対象は2013年8月までに小腸狭窄性病変が疑われCEを計画し,事前にPCを施行した120例であった.男:女=63:57,平均年齢は47±18歳であった.当院でのPCの施行方法は,自宅もしくは院内でPM11:00かAM8:30にPCを内服し,以後原形排出されるか,33時間後に単純Xpで大腸に到達した場合を開通性ありとした.Xpでも判断がつかない場合はCTを追加し判定した.PC開通に関わる因子として年齢,性,Body mass index(BMI),クローン病,狭窄症状,画像狭窄所見あり,便秘,消化管蠕動促進薬,糖尿病,内服時間,腹部手術歴,入院状態,ADL低下を挙げ,PC開通に有意に関わる因子につき多変量解析を用いて検討した.またPC非開通であった患者の背景につき調査した.【結果】全PC開通率は102/120(85%),開通例は原形排出56例,Xpのみ施行24例,CT必要22例であった.各因子数は,40歳以上71例,BMI 18以下24例,クローン病52例,狭窄症状あり38例,画像狭窄あり34例,便秘16例,消化管蠕動促進薬あり18例,糖尿病あり8例,夜間内服80例,腹部手術歴既往67例,入院状態24例,ADL低下8例であった.PC非開通に関わる因子の単変量解析では狭窄症状,画像狭窄,腹部手術歴既往,ADL低下が有意であり,この4因子で行った多変量解析では画像狭窄(P<0.001,odds ratio 21.842)とADL低下(P=0.047,odds ratio 6.850)がPC非開通の有意な因子であった.PC非開通18例中9例(50%)が小腸狭窄に対する姑息的処置の既往(内視鏡的バルーン拡張術,外科的狭窄形成術)があった.【結論】PCによる消化管開通性評価には画像狭窄とADL低下が最も影響していた.
索引用語