セッション情報 |
パネルディスカッション7
カプセル内視鏡の臨床応用,新たな展開
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タイトル |
PD7-7:カプセル内視鏡による寛解期クローン病の小腸病変評価の有用性
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演者 |
渡邉 千之(県立広島病院消化器内科) |
共同演者 |
平本 智樹(県立広島病院内視鏡内科), 隅岡 正昭(県立広島病院内視鏡内科) |
抄録 |
【背景】カプセル内視鏡(VCE)の登場により困難であった小腸病変のスクリーニングを簡便に行うことが可能となった.しかし,クローン病(CD)は滞留の危険性からVCEは禁忌であったが,PillCam?パテンシーカプセル(PC)による開存性が確認できた症例にVCEが認可され,CD小腸病変の簡便な評価が可能となった.【目的】CDで臨床寛解の指標であるCDAI値が寛解の症例も粘膜治癒に至っていないことを経験する.今回我々はVCEにて,これまで困難であった寛解期CDの小腸活動性病変の有無を評価し,CDAI値,活動性のbiomarkerとされるCRP値やヒトHb量との関連,VCE所見の評価指標とされるCECDAI値,Lewis scoreとCDAI値との関連を検討した.また,PC滞留例の滞留部位を腸管エコー(US)で評価し,PC併用VCEの有用性を検討した.【対象と方法】臨床寛解CDでVCE実施前にPCを飲用した30例を対象とした(男性22例,女性8例,平均年齢36.6歳).生物製剤使用者は16例(53.3%),小腸切除術既往者は19例(63.3%)であった.臨床寛解はCDAI値が150未満とした.PCで開存性が確認された20例にVCEを実施,小潰瘍以上を活動性病変とした.PC滞留例にUSで滞留部位の同定と活動性病変関与の推定を行った.【成績】PCにより小腸の開存性が確認できたのは19例(63.3%)であった.PC滞留例のうち9例にUSを実施し8例(88.9%)に滞留部位を同定,壁肥厚等の活動性病変を3例(37.5%)に認めた.PC通過と手術既往や生物製剤使用の有無に相関を認めなかった.VCEで小腸活動性病変を7例(35.0%)に認めた.活動性病変の有無とCDAI値,CRP値,ヒトHb量に相関はなくCECDAI値,Lewis scoreとCDAI値に相関を認めなかった.【結論】VCEで寛解期CDの35.0%に小腸活動性病変を認めた.VCE所見とCDAI値,CRP値,ヒトHb量に乖離を認めた.PC滞留例もUSで滞留部位と活動性病変の推定が可能であった.PC併用VCEで寛解期CDの正確な小腸活動性病変の把握が可能となり,的確な治療選択のための有用な検査になり得ると思われた. |
索引用語 |
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