セッション情報 パネルディスカッション7

カプセル内視鏡の臨床応用,新たな展開

タイトル PD7-8:

カプセル内視鏡による腸管型ベーチェット病の小腸病変の検討

演者 河内 修司(松山赤十字病院胃腸センター)
共同演者 蔵原 晃一(松山赤十字病院胃腸センター), 押領司 健介(松山赤十字病院リウマチ膠原病センター)
抄録 【目的】腸管型ベーチェット病(BD)の小腸病変の臨床的特徴をカプセル内視鏡(CE)施行例において明らかにすること.【方法】BD診断基準主要項目(再発性口腔内アフタ,皮膚症状,眼症状,外陰部潰瘍)の一項目以上を満たし,かつ回腸もしくは大腸に打ち抜き潰瘍を認める症例(腸管切除例含む)を腸管型BDと定義し,2009年3月から2013年9月までに当センターでCEを実施した15例を対象とした.男性7例,女性8例,発症年齢は中央値38.1歳(6-80歳),罹病期間は中央値3.2年(0.1-30年)であり,BD病型は完全型1例,不全型8例,疑い6例で腸管切除例は4例であった.BDに対する治療は5-ASA/SASP8例,コルヒチン6例,プレドニゾロン8例,アザチオプリン3例,インフリキシマブ(IFX)2例であり,NSAIDsは5例で使用されていた.全小腸通過時間の前半を空腸,後半を回腸とした.(1)小腸粘膜病変の発生率および小腸部位別の粘膜病変発生頻度の比較,(2)併用治療状況,CRP値における全小腸の小腸粘膜病変発生頻度の比較,を検討した.【成績】(1)小腸粘膜病変(発赤・びらん・潰瘍のいずれか陽性)は14例(93%)に認められた.小腸部位別では空腸7例(47%),回腸14例(93%)に認められた(p=0.01).大腸に病変を認めず小腸粘膜病変のみは1例であった.大腸内視鏡検査で回腸末端部に異常を認めず大腸だけに粘膜病変を認めたのは3例で,そのうち2例でCE実施により小腸粘膜病変を認めた.全小腸では発赤4例(27%),びらん12例(80%),潰瘍7例(47%)で認められ,発赤は空腸3例(20%),回腸3例(20%)(p=N.S.),びらんは空腸5例(33%),回腸11例(73%)(p=0.07),潰瘍は空腸1例(7%),回腸7例(47%)(p=0.035)に認められた.(2)全小腸でIFX非投与例(p=0.03),CRP陽性(CRP>0.10mg/dl)例(p=0.02)では有意にびらんを多く認めた.【結論】腸管型BDでは,回腸末端部のみならず全小腸,特に回腸に粘膜病変が高頻度に発生し,IFX非投与やCRP値上昇例ではびらんが多く認められる可能性が示唆された.
索引用語