セッション情報 パネルディスカッション7

カプセル内視鏡の臨床応用,新たな展開

タイトル PD7-9:

消化管原発濾胞性リンパ腫の診断・経過観察におけるカプセル内視鏡の役割

演者 小林 聡(信州大学医学部消化器内科)
共同演者 奥原 禎久(信州大学医学部消化器内科), 菅 智明(信州大学医学部消化器内科)
抄録 【目的】消化管原発濾胞性リンパ腫(Gastrointestinal Follicular Lymphoma:GIFL)は小腸に病変を認めることが多い.しかし診断・経過観察方法については一定の見解は得られていない.当科ではカプセル内視鏡(CE)を用いて診断・経過観察を行っており,この現状について報告する.【方法】当科で2007年11月から2013年7月の間にGIFLの検査目的に施行したCE 73件44症例(男性36件22症例)を対象とした.【結果】他のモダリティでGIFLを疑われ,小腸病変精査目的に行ったCE 30件30症例中21症例でFLの病変を認めた.ダブルバルーン内視鏡(DBE)等,他のモダリティを併用しGIFLと確定診断されたのは28/30症例であり,診断時の病変検出率は75.0%(=21/28)であった.尚,28症例中CEで病変を認めなかった7例のうち3例はDBEを施行し十二指腸原発と診断され,3例はDBEを施行していないがCT・PETで異常を認めず十二指腸原発と診断された.1例はDBEで回腸に病変を認め,生検でgrade 2のFLと診断された.最終診断がGIFLではなかった2症例ではCEでFLを疑う所見を認めなかった.臨床病期は21症例が1期だった.GIFLの診断後,経過観察目的に施行されたCEは43件30症例であり,治療後36件25症例,無治療経過観察中7件5症例だった.治療前後にCEを施行し診断時に小腸に病変を認めた10症例では全例で病変の縮小もしくは消失を認めた.無治療経過観察例(平均観察期間18.0か月)では,2例が経過観察前後で小腸病変を認めず,2例が経過観察前後で同様に病変を認め,1例は診断時には空腸に病変を認めたものの経過観察時には病変を指摘できなかった.【結論】CEの病変検出率は診断時75.0%であるが,十二指腸病変のみと確認された症例を除くと84.0%(=21/25)だった.経過観察例では5例中1例で偽陰性の可能性が示唆された.CEでは病変を検出できない例もあるが,DBEはCEと比較して身体的・経済的に患者負担が大きく,検査の限界を理解した上でCEを選択することも可能であると考えられた.
索引用語