セッション情報 パネルディスカッション7

カプセル内視鏡の臨床応用,新たな展開

タイトル PD7-10:

腸管原発濾胞性リンパ腫:“watch and wait”と治療効果判定におけるカプセル内視鏡の有用性

演者 田利 晶(広島赤十字・原爆病院総合内科)
共同演者 麻奥 英毅(広島赤十字・原爆病院検査部), 藤森 俊二(日本医科大学消化器内科学)
抄録 【目的】腸管原発濾胞性リンパ腫(腸管FL)は高頻度に小腸に病変を有し,治療方針として“watch and wait”が有力な選択肢と考えられているが,定期的な経過観察を要する.小腸病変診断においてDBEと遜色がないことが報告されているカプセル内視鏡(VCE)の,腸管FLに対する“watch and wait”における小腸病変の評価と治療効果判定についてその有用性を検討した.【患者】診断確定後12ヶ月以上経過観察中の腸管FL患者43人[M/F=24/19,age 46-82,臨床病期(CS,Lugano)I:18,II1:0,II2:13,IV:12]]を対象とした.43人中39人に悪性リンパ腫(ML)の既往はなく,その中の30人(CS I:13,II1:0,II2:8,IV:9)は“watch and wait”,9人(CS I:4,II1:0,II2:3,IV:2)は消化管FLの治療にてCRとなった後に経過観察中である.残る4人中3人は節性FL治療後,1人はsubclass不明のML加療後経過観察中に腸管FLと診断された(CS I:1,II1:0,II2:2,IV:1).【成績】“watch and wait”を選択した患者30人の中で4人にCSの進行を認め(I→II1:1,I→II2:2,II2→IV:1),その中の1人で空腸に限局していた病変の回腸への浸潤を認めた.CSの進行を認めなかった2人に空腸から回腸に病変範囲の拡大を,1人に空腸病変の肉眼像の変化を認めた.この7人は“watch and wait”継続中である.“watch and wait”中にCS IVの患者1人は小腸の広い範囲で顆粒状隆起が潰瘍を伴う肉眼型に変化し,胃病変のWHO gradeが1→3Bとなり,化学療法を実施しCRとなった.節性FL加療後再発患者(CSII2)の1人では,消化管病変は変化がなかったがCSがIVとなり化学療法を実施後CRとなった.治療後CRとなった全患者では小腸病変はVCEにてCRとなっていることが確認された.【結論】消化管FLの“watch and wait”にて小腸病変の形態及び浸潤範囲の評価にVCEは有用であった.また,治療介入後の小腸病変に対する治療効果判定にも有用であった.肉眼所見を併せて呈示したい.
索引用語