セッション情報 |
パネルディスカッション7
カプセル内視鏡の臨床応用,新たな展開
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タイトル |
PD7-11:肝移植予定患者における小腸病変の評価に対するカプセル内視鏡の安全性と有効性の検討
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演者 |
川野 誠司(岡山大学光学医療診療部) |
共同演者 |
岡田 裕之(岡山大学光学医療診療部), 山本 和秀(岡山大学消化器内科) |
抄録 |
【背景】カプセル内視鏡(VCE)の登場により比較的容易に小腸の検査が可能となり,肝硬変患者における小腸病変の報告も散見されるようになった.一方,移植を必要とするような重度の肝障害症例における小腸病変の検討は十分でなく,またこうした症例に対するVCEの安全性の検討も十分ではないのが現状である.そこで我々は肝移植を予定している患者に対してVCEを施行し,その安全性と移植前検査としての有効性について評価する前向きコホート研究を企画した(UMIN00008682).今回現時点での成績について報告する.【対象と方法】2012年4月から2013年9月までに当院にて肝移植術前精査を行う目的でVCEを行うことに文書で同意が得られた19例.移植は脳死生体を問わないが,緊急症例は除外とした.また2度以上の肝性脳症があるなど本人から同意をとることが困難な場合や滞留の危険性があると判断される場合も除外とした.【結果】男性12例女性7例,年齢中央値は59歳,背景肝はHCV/NASH/アルコール/PBC/その他:9/4/3/2/1であった.Child-pughスコア,MELDスコアの中央値はそれぞれ11点/19点と重度の肝障害を有していた.VCEは1例が嚥下困難のため検査不能となり18/19(94.7%)に施行された.全小腸観察率は17/18(94.4%)であり,胃及び小腸通過時間の中央値はそれぞれ9分/327分であった.滞留を含む偶発症は認めなかった.VCEの主な所見は腸管浮腫14例(78%),Angioectagia8例(44%)そのうち活動性出血1例,点状発赤8例(44%),びらん4例(22%),静脈瘤2例(11%)であり,10例(56%)において2個以上の所見を重複して認めた.一方明らかな所見を認めなかったのは1例のみであった.【結論】移植を必要とするような重度の肝障害症例においてもカプセル内視鏡は安全に施行できていた.またこれらの症例では高率に小腸に所見を有しており,移植前に行う検査として妥当である可能性が示唆された. |
索引用語 |
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