セッション情報 |
パネルディスカッション7
カプセル内視鏡の臨床応用,新たな展開
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タイトル |
PD7-12:腸管寄生虫感染症診療におけるカプセル内視鏡検査の位置づけ
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演者 |
半田 修(京都府立医科大学消化器内科) |
共同演者 |
八木 信明(京都府立医科大学消化器内科), 内藤 裕二(京都府立医科大学消化器内科) |
抄録 |
【背景】本学は開学当初から日本における様々な寄生虫疾患の発見やその撲滅の歴史と深い関わりを持ちながら歩んできた.衛生環境が改善されたとはいえ,日常診療において腸管寄生虫感染症に遭遇する機会も稀ではなく,その臨床的重要性は依然として存在する.カプセル内視鏡(CE)は小腸疾患の診断に有用であるが,腸管寄生虫診療におけるCEの重要性は不明である.【目的】本検討の目的は,腸管寄生虫感染症のなかでも比較的多く遭遇する条虫感染症診療における当院での虫卵検査と,CEの実施状況を調べ,その役割を明らかにすることである.【対象・方法】2008年1月から2013年9月までに,肛門からの索状物排泄を主訴に当院を受診された36症例の,虫卵検査,CE検査施行状況,治療内容,フォローアップにつき検討した.【結果】36症例の内訳は男性25例,女性11例,平均年齢は38.4歳(3-83歳)であった.来院動機は肛門からの索状物排泄に本人もしくは家人が気付くことによる.36症例中,便虫卵検査は21例に,CEは14例に施行されており,頭節の小腸粘膜吸着は3例に確認された.虫卵,CE両検査施行症例は10例で,存在診断の一致率は70%であった.10例中5例で虫卵検査陰性であったが,そのうち2例でCE陽性であった.虫卵検査陽性は5例であったが,そのうち1例でCE陰性であった.26例に治療が行われ,24例でプラジカンテルが,2例でガストログラフィンが使用された.治療後の虫体確認は18例,頭節確認は4例で可能であった.その後の臨床経過を追えたものはわずか8例のみで,そのうち6例にDNA検査が行われ日本海裂頭条虫と診断された.【考察】腸管条虫症は比較的若年者に発生する疾患である.従来,存在診断は虫卵検査により行われていたが,虫卵無排出期では偽陰性を生じることがあり,確実な診断のためにはCEを併用することで診断率があがる可能性がある.【結語】条虫症において虫卵検査陰性の場合はCE施行も考慮すべきである. |
索引用語 |
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