セッション情報 パネルディスカッション7

カプセル内視鏡の臨床応用,新たな展開

タイトル PD7-15:

自走式カプセル内視鏡の新たな展開:PillCam?SB2とPillCam?ESO2の観察能の比較

演者 太田 和寛(大阪医科大学第2内科)
共同演者 能田 貞治(大阪医科大学第2内科), 樋口 和秀(大阪医科大学第2内科)
抄録 カプセル内視鏡は消化管の蠕動で進むため,チューブ式内視鏡と異なり,病変部を検者がリアルタイムに任意の方向から観察することはできない.この欠点を克服するため,当科では龍谷大学理工学部機械システム工学科と共同で,磁場を利用して駆動制御する自走式CE(Self-propelling capsule endoscope:以下SPCE)の開発・研究を行っている.これまで,ヒトの消化管内でSPCEの自走を行い,その成果を学会報告しているが,SPCEの観察能については未知数のところが多い.今回,豚の胃でSPCEの観察能について検討を行ったので報告する.方法:今回使用カプセル内視鏡として,PillCam? SB2(SPCE-S)とPillCam?ESO2(SPCE-E)を用いた.切除した豚の胃内に色違いのボタンを部位別に11か所縫いつけた.その後,豚の胃を発泡スチロール製の箱に固定し,向きを変えれるようにした.水で拡張した豚の胃内で,それぞれ計10分間の観察を,SPCE-Sで計10回,SPCE-Eで計5回行った.ボタンの観察では,近接でみえたものを2点,遠目でしかみえなかったものを1点,指摘できなかったものは0点,とスコアリングを行った.SPCE-SとSPCE-Eで,ボタンの指摘数,スコアについて比較検討を行った.結果:10分間で指摘できたボタン数は,SPCE-Sがmean±S.D.:7.6±1.1個,SPCE-Eが11±0個で,SPCE-Eで有意に優れていた(p=0.002).また,スコアについても,SPCE-Sが13.9±1.6,SPCE-Eが22.0±0個で,有意にSPCE-Eで優れていた(p=0.002).10回のSPCE-Sによる10分間の観察では,いずれも全てのボタンを指摘できなかった.特に穹窿部,体上部大彎においては,観察が困難であった.一方で,SPCE-Eでは5回の観察ともすべてのボタンを指摘することができ,その時間は7m14s±1m13sで,非常に観察能が高い結果であった.考察:SPCEの観察能の向上のために必要な改良点が明らかになった.また,当日はPillCam?COLON2を用いたSPCEでの実験結果も報告する予定である.
索引用語