セッション情報 パネルディスカッション7

カプセル内視鏡の臨床応用,新たな展開

タイトル PD7-16:

イノベーションが拓くカプセル内視鏡の未来:診断から治療へのパラダイムシフト

演者 太田 英敏(札幌整形循環器病院消化器内科)
共同演者 勝木 伸一(小樽掖済会病院消化器病センター)
抄録 背景:カプセル内視鏡(CE)は侵襲が少なく,被験者が受け入れやすい検査法であるが,操作できないため,広い胃,屈曲の強い大腸では見落としのリスク,検査時間,コスト等から全消化管スクリーニング法としては認知されなかった.しかし,体外磁場を用いた制御,可変撮影などの新技術はこれらの課題を克服し,全消化管スクリーニング代替技術の一つとして認知される時代に入った.一方,ネット,ロボット技術のイノベーションは急速で,応用可能な環境が醸成されてきた.我々はDDW2013,UEGW2013で,磁石誘導法の欠点を克服し治療可能なモーター駆動CE(internet linked Robotic Capsule Endoscopy;iRoboCap)を開発し発表した.磁石誘導CE臨床試験(JMA-2A00114)の中間報告とiRoboCapの開発現状を報告する.方法:1)磁化CEを体外磁石で操作する形式で,全消化管(胃・大腸のみ誘導)検索した.消化管出血,腫瘍にて通常内視鏡(上部+下部)検査を事前に行った患者を対象に,ブラインドにて比較する臨床試験を平成25年3月~平成25年9月31日まで35例に実施.通常内視鏡検査を対照とし,感度,特異度,検査の完遂率を検討した.2)プロトタイプのiRoboCap(直径1.8cm,長さ4.5cm)は2.4GHz帯のBluetooth(BT)LSIで構成し,遠隔携帯端末(smartphone,iPAD)で操作し,生検,クリップ機能は,搭載マイクロプロセッサーで制御した.成績:1)磁気誘導型CEの感度は92%,特異度は86%であり,臨床的に有用と考えられた.新しい腸管洗浄剤,洗浄法の採用で洗浄度の改善を図り,特異度を改善する検討が必要であった.2)iRoboCapでは携帯端末のBT信号レベルで交信可能で,CEを制御可能であった.3)ネットを介した遠隔制御ではtime lagを考慮した操作の習得が必要であった.結論:全消化管スクリーニングのModalityとして磁気誘導型カプセル内視鏡は有用と考えられた.iRoboCapは検査治療が可能な次世代CEの実現性を示唆していた.
索引用語