セッション情報 パネルディスカッション8

進行肝細胞癌の治療選択

タイトル PD8-1:

進行肝癌に対するPIHPを基軸とした治療戦略:2段階治療と3段階治療

演者 福本 巧(神戸大学肝胆膵外科)
共同演者 木戸 正浩(神戸大学肝胆膵外科), 具 英成(神戸大学肝胆膵外科)
抄録 (目的)我々は両葉多発で既存の方法では治療困難な進行肝癌に対して経皮的肝灌流化学療法(PIHP)を開発した.さらにその治療効果増強策として減量肝切除とPIHPによる2段階治療を考案・実施している.また肝静脈や下大静脈への浸潤・圧排による減量肝切除困難・不能例に対してはPIHPにより主腫瘍の縮小(ダウンステージ)後に減量肝切除を施行し,残肝病変に対するPIHPを追加する3段階療法を実施している.近年,肝予備能が中程度に不良でPIHPには耐術可能だが減量肝切除のリスクが高いと判断した症例には減量肝切除を粒子線治療に置き換えた,粒子線治療とPIHPによるP2段階治療を行っているので,2段階治療,3段階治療と合わせてそれらの治療成績について報告する.(対象と方法)2012年12月までに201人がPIHPにエントリーされ,内185人がPIHPを受けた.201人の内95人が2段階治療に,12人が3段階治療に,2人がP2段階治療にエントリーされた.(結果)2段階治療95人の減量肝切除の内訳は拡大右葉切除9例,右葉切除44例,拡大左葉切除9例,左葉切除11例,中央2区域切除1例,その他21例であった.その内10例が術後PIHPの適応基準を逸脱したため脱落し,85例に第二治療としてPIHPが施行された.2段階治療完遂85例の奏功率は69.4%(CR23例,PR36例).1/3/5生率は95例全体で70%/28%/21%,MST19ヵ月,完遂85例で73%/31%/24%,MST20ヶ月であった.3段階治療にエントリーされた12例全例で切除を完遂し,PIHPを第三治療として追加し,内2例でCRが得られた.3段階治療の1生率は66.7% MST15.9ヵ月であった.P2段階治療にエントリーされた2名とも粒子線治療後PIHPを完遂した.治療成績は両例ともPRで生存期間は9ヵ月および20ヵ月だった.(考察)高度に進行した肝癌症例でも安易に姑息治療に逃げ込むのではなく,PIHPを基軸とし,減量肝切除や粒子線治療を組み合わせた外科集学的治療の可能性を第一に追求すべきと考えられた.
索引用語