セッション情報 パネルディスカッション8

進行肝細胞癌の治療選択

タイトル PD8-2:

肝動注化学療法によるdownstaging後の肝切除が可能となる脈管侵襲を有する切除不能肝細胞癌の検討

演者 永松 洋明(公立八女総合病院肝臓内科)
共同演者 鳥村 拓司(久留米大学消化器内科), 佐田 通夫(久留米大学消化器内科)
抄録 【目的】当院では進行肝細胞癌に対してdownstaging後肝切除を目標に,肝動注化学療法(HAIC)を中心とした治療を行っている.当院におけるHAICの治療成績をretrospectiveに検討した.【対象】2003年6月から2013年7月の期間,当院にてリザーバーを用いたHAICを行った切除不能HCC 223例のうち,Child Pugh C症例を除いたStage IV-Aの128例(Child Pugh A/B:76/52例,PVTT Vp2/3/4:61/44/23例,regimenは,Low dose FP(LFP)/New FP(NFP)/その他:30/89/9例)を対象とした.【方法】PR以上が得られた症例では,積極的に肝切除などの追加治療を行い,リザーバーを抜去した.HAIC開始後累積生存期間(OS)をKaplan-Meier法で示し,PVTT,regimen別にLog Rank検定で比較検討を行った.またdownstagingが成功し,肝切除が行いえた症例の条件について検討した.【結果】動注効果ではCR/PR/SD/PD=16/68/30/14例で奏効率は65.6%,肝切除が行いえたのは11例(全体で8.5%,Child Pugh AのNFP症例では15%)であった.全体のHAIC開始後のOSは1年/3年/5年:64/32/19%で,中央値(MST)は20カ月.PVTT別ではVP2/VP3/VP4:36/13/14か月(P=0.002),regimen別ではLFP/NFP/その他:16/23/9カ月(P=0.001)であった.PR症例で追加治療によりcancer freeが得られた症例を加えると,50例(39%)でリザーバー抜去が可能となり,MSTは50カ月であった.そのうち肝切除症例の5年生存率は80%であった.肝切除が可能となった症例は,最大腫瘍径では10cm以上が4例,VP3が4例,腫瘍個数10個以上が3例,肝両葉に存在する症例が4例,regimenではNFPが10例(91%)であった.【結論】脈管侵襲を有するHCCに対して,奏効率が高いHAICを行い追加治療によりcancer freeとすることで,肝機能や肝動脈が保持され長期生存に寄与した.また,腫瘍個数が多く,肝両葉に病変が存在しても,HAICにより片葉のコントロールができると肝切除が可能となり,さらに長期生存が得られた.
索引用語