セッション情報 パネルディスカッション8

進行肝細胞癌の治療選択

タイトル PD8-3:

肝予備能良好な切除不能進行肝細胞癌の内科的治療戦略―各Stage,病態におけるNew FP,Low dose FP,Sorafenibの使い分け―

演者 田尻 博敬(九州がんセンター消化器肝胆膵内科)
共同演者 杉本 理恵(九州がんセンター消化器肝胆膵内科), 増本 陽秀(飯塚病院肝臓内科)
抄録 【目的】今回我々は,肝予備能良好(Child-pugh grade Aに限定),合併症無しの切除不能進行肝細胞癌への内科的治療戦略について,各Stage,病態においてどの治療方法が有効であるかを明らかにするために検討を行った.【方法】対象は肝予備能良好(Child-pugh grade A),合併症無しの切除不能進行肝細胞癌153例(Stage III 36例,IVa 65例,IVb 52例)を対象とした.治療としてNew FP(NFP)は動注ポートからアイエーコール50 mgとリピオドールの懸濁液を動注後に5-FU 300~400 mg/24hrを5日間持続注入した.Low dose FP(LFP)は動注ポートからCDDP 20 mg投与(day 1-4)後,5-FU 300~400 mg/24hrを5日間持続注入した.いずれの治療も2日間の休薬を入れて3~4週間繰り返し,更に2~4週間休薬した後可能な限り継続した.Sorafenibは200~800 mg/日を連日投与した.【結果】Stage IIIにおいて最大腫瘍径5cm以上の群ではNFPがLFPに比べて有意にOverall survival time(OS)が良好であった(MST 16.3M,p=0.0048).5cm未満の群ではNFP,LFP,Sorafenibに差を認めなかった.Stage IVaではNFPがLFP,Sorafenibの2者に比べて有意にOSが良好であった(MST 22.6M,p=0.0018,0.0109).Stage IVbではVP無しの群においてSorafenibが動注群に比べて有意にOSが良好であった(MST 12.0M,p=0.0164).逆にVP有りの群では動注群がSorafenibよりOSは良好な傾向であった(MST 14.8M,p=0.0781).【結論】Stage IIIの5cm以上ではNewFPが有効で,5cm未満では3者に差を認めなかった.Stage IVaでは他の2者に比べてNew FPが有効であった.Stage IVbではVP無しではSorafenibが,VP有りの症例では動注が好ましい結果であった.肝予備能良好な進行肝細胞癌における治療方針決定において今後の更なる症例の蓄積が望ましい.
索引用語