セッション情報 パネルディスカッション8

進行肝細胞癌の治療選択

タイトル PD8-6:

進行肝細胞癌に対するIFN併用5-FU肝動注化学療法を中心とした集学的治療に関する検討

演者 山下 竜也(金沢大学消化器内科)
共同演者 砂子阪 肇(金沢大学消化器内科), 金子 周一(金沢大学消化器内科)
抄録 【目的】当科で2003年より進行肝細胞癌に対して行ってきたIFN併用5-FU肝動注化学療法を中心とした集学的治療について検討した.【対象】対象は2003年から2012年まで当科にてIFN併用5-FU持続肝動注化学療法にて加療した肝内進行肝細胞癌症例311例.治療法は5-FUを5日間持続動注し(day1-5,day8-12),IFNα-2bまたはPEG-IFNα-2bを4週間継続した.CDDPはday1,8に肝動注した.奏効率,OS,PFS,奏効因子および予後因子を検討した.治療効果判定にはRECIST1.0ガイドラインを用いた.後治療は根治を目指した治療をConversion治療,それ以外をSalvage治療として検討した.【結果】対象は年齢66歳,男性78%,HCV陽性53%,PS0 80%,Child-Pugh分類はA45%,B43%,C12%,初発31%,主要脈管侵襲36%,肝外病変25%,CDDP併用70%であった.311例全体の奏効率は26%,腫瘍制御率は58%であった.OSは10.7ヵ月,PFSは4.2ヵ月.CDDP併用の有無,IFN種類別で奏効率,OSに有意差はみられなかった.奏効例のOSは32.4ヶ月と著明な延長がみられた.奏効因子として多変量解析にてAlb3.5g/dL以上,主要脈管侵襲なし,肝外病変なしが挙げられた.奏効と腫瘍マーカーの推移を検討すると2週間後AFP50%以上低下例の51%で奏効がみられた.予後因子としてPS0,T.Bil 2.0mg/dL未満,Alb 3.5g/dL以上,肝外病変なしが挙げられた.Child-Pugh分類別の奏効率はA 35%,B 22%,C 8%,OSはA 16.1ヵ月,B 8.8ヵ月,C 3.3ヵ月であった.奏効例の27%(全体の7%)でConversion治療(RFA59%,TACE+RFA23%),42%でSalvage治療(TACE68%,全身化学療法12%)が行われ,Conversion治療例とSalvage治療例のOSはそれぞれ46.1ヵ月,25.8ヵ月であった.【結語】進行肝細胞癌に対するIFN併用5-FU肝動注化学療法は奏効が期待でき,奏効例で著明に予後延長がみられ,Conversion治療が行えた場合さらに予後延長がみられた.IFN併用5-FU肝動注化学療法を中心とした集学的治療には奏効因子と予後因子を考慮しその適応を考え,奏効例ではConversion治療の機会を考慮する必要がある.
索引用語