セッション情報 パネルディスカッション8

進行肝細胞癌の治療選択

タイトル PD8-7:

Vp3/4を有する肝癌に対する治療戦略

演者 森口 理久(京都府立医科大学消化器内科)
共同演者 新槇 剛(静岡がんセンターIVR科), 伊藤 義人(静岡がんセンターIVR科)
抄録 【目的】脈管侵襲陽性肝癌(HCC)に対するSorafenib(So)の生存期間中央値(MST)は8.1カ月と報告され(SHARP subanalysis),一方我々は,Vp3/4を有する(Vp3/4-)HCCに対するリザーバー肝動注化学療法(RV)のMST;16.4カ月,奏効率;36.7%と報告している(2011年JDDW).現在,C-P AでVp3/4-HCCに対しては双方の説明を行い,患者選択で治療法を決定している.そこで,2009年6月~2013年3月までに患者選択で治療法が決定されたC-P AでVp3/4-HCC症例を検討し,考察する.【方法】治療法別に,(1)抗腫瘍効果(RECIST v1.0)(2)(a)MST,(b)PD(RECIST)または有害事象(AE)中止までの期間=治療成功期間(TTF);Kaplan-Meirer法(群間比較はLog Rank法)(3)Conversion rate(奏効による治療法変更の割合)(4)Cancer free rate(5)AE(CTCAE v4.0でGr3以上)(6)後治療を検討する.【結果】全41症例の背景は,69(40-82)歳,男性/女性;36/5,PS 0/1;25/16,全例Stage IV,Vp 3/4;23/18,肝外病変有;16,C-P5/6点;18/23,HBV/HCV/NBNC;14/20/7例.So/RV;11/30例が選択され,両群間の背景に差はなし.So開始1日容量は800mg/400mg;6/5例,RVではLFP/IFN+5FU;19/11例を施行.観察期間中央値は412日で,治療関連死なし.(1)奏効率:So/RV;0/36.7%,病勢制御率:So/RV;18.2/53.3%(2)(a)MST:So/RV;90/326日(p=0.001),(b)TTF:So/RV;28/96日(p=0.036)(3)So/RV;0/20%(切除/RFA/TACE;3/1/2例にconversion)(4)So/RV;0/23.3%((3)切除/RFA conversion例でcancer free,RV単独CR;3例)(5)So:肝性脳症/倦怠感/AST/ALT上昇/Amy上昇/低Na血症;各2,多形紅斑;1例RV:好中球減少/血小板減少;8/8,AST/ALT上昇;5(リザーバー留置後に一過性),食欲不振;1例(6)So(n=11):BSC/RV/DDP-H i.a/RT;8/1/1/1例,RV(n=20):So/BSC/RV(IFN+5FU→LFP);10/9/1例【考察】C-P A,Vp3/4-HCCに対しては,RVを先行→cancer freeを目指せる場合は他治療へのconversionも考慮,RVの効果が期待できない場合は速やかにSoに移行するという治療戦略が考えられる.
索引用語