セッション情報 パネルディスカッション8

進行肝細胞癌の治療選択

タイトル PD8-11:

当科での進行肝細胞癌に対するソラフェニブを中心とした集学的治療

演者 海堀 昌樹(関西医科大学外科)
共同演者 石崎 守彦(関西医科大学外科), 權 雅憲(関西医科大学外科)
抄録 【背景・目的】進行肝細胞癌に対する積極的な切除により予後が期待できるが,術後再発率は依然と高く,再発後の予後は不良である.今回当科での長期予後を目指した進行再発肝細胞癌に対するSorafenibを中心とした集学的治療につき報告する.【方法】当科での進行肝細胞癌に対するSorafenib投与症例全124例の検討,高度脈管浸潤・両葉多発症例に対するSorafenib+CDDP分割肝動注併用療法(UMIN000008571)30例の検討を行った.【結果】Sorafenib症例全124例のうち,動注併用30例を除いた94例の平均投与期間は401.2日,奏功率3%,病態制御率70%(CR3例,PR1例,SD62例,PD28例),予後は中央値でTTP4.2カ月,OS25.4カ月であり,奏功率別で比較するとlongSD群が予後良好であった.また予後に関して臨床背景因子21項目で単変量解析を行ったところ血小板数,Child-pugh score,後治療の有無,奏功率,有害事象,病態制御率の6因子に有意差を認め,多変量解析では後治療の有無,有害事象,病態制御率が独立した予後因子として抽出された.後治療として肺転移に対するCDDP全身投与は7例中1例にCRが得られ有用であった.Sorafenib+CDDP肝動注併用療法30例の成績は奏功率23%,病態制御率80%(CR0例,PR7例,SD17例,PD6例),予後はTTP中央値5.6カ月,1生率48%であった.切除へconversionしたのは30例中2例で,1例はVp4から3へ改善し拡大肝右葉切除および門脈腫瘍栓摘出を行い根治術施行,もう1例はVv3を伴う腫瘍にPRが得られIVC合併肝右葉切除により根治切除を施行し得た.【考察】Sorafenibの長期継続投与により切除不能肝細胞癌の予後改善が期待でき,そのためにはチーム医療による有害事象対策は重要と考えられた.また高度脈管浸潤症例に対するconversionを目指したsorafenib+CDDP動注併用療法や,後治療としてのCDDP全身投与併用療法など,sorafenibを中心とした様々な集学的治療により進行肝細胞癌全体の予後を改善する可能性が示唆された.
索引用語