セッション情報 |
パネルディスカッション9
食道胃静脈瘤治療の最前線
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タイトル |
PD9-4:集学的食道静脈瘤治療としての経鼻内視鏡的アルゴンプラズマ凝固法~無作為割り付け比較試験~
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演者 |
古市 好宏(新座志木中央総合病院消化器・肝臓内科) |
共同演者 |
新戸 禎哲(新座志木中央総合病院消化器・肝臓内科), 森安 史典(東京医科大学消化器内科) |
抄録 |
【諸言】食道静脈瘤(EV)の集学的治療の一環として,アルゴンプラズマ凝固法(APC)は再発抑制の観点から大変有用である.非施行群に比べ,再発率を55%抑制する効果があると言われている.しかし,肝硬変(LC)患者にとって,治療に伴う頻回なセデーションは肝性脳症を遷延化させる危険があり,肺動静脈シャントを合併した患者の呼吸状態に悪影響を与える.【目的】鎮静剤を用いない経鼻内視鏡的APCが経口APC(鎮静剤あり,酸素カヌラ2L)に比べ有用かどうか明らかにする.【対象と方法】α-error:0.05,power:0.8,二年静脈瘤再発率50%として算出すると必要症例数は96例となり,EIS加療を施行したLC101名を対象とした.ブタ食道モデルによる経鼻APCの安全性を確認した後,東京医科大学倫理委員会承認の元,ランダムに二群に割り付け,EIS後地固め療法としてのAPC評価を前向きに検討した(経鼻50名,経口51名).主要評価項目を累積再発率とし,副次評価項目を術中血圧,脈拍,酸素飽和度,合併症出現率とした.尚,経鼻APCプローブは1500A,経口プローブは2200Aを使用した.【結果】3年累積再発率(経鼻35% vs経口40.8%,p=0.39)に有意差を認めず,経鼻法は経口法に比べ,遜色のない再発率であった.経鼻群では,血圧,酸素飽和度がより安定しており,心窩部痛(56.0 vs. 74.5,p=0.04)と一過性高血圧の出現率(30.0 vs. 54.9,p=0.01)も低かった.また治療後潰瘍が治癒する時期も同等であった(約14日後).【考察】経鼻APCがEV再発を抑制する効果は経口法と同等であり,被験者の苦痛も少ないことからセデーションの必要もない.そのため,肝性脳症が遷延する危険性のあるLC患者にとって,より有用な集学的治療法であると思われた. |
索引用語 |
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