セッション情報 |
パネルディスカッション9
食道胃静脈瘤治療の最前線
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タイトル |
PD9-7:食道静脈瘤の治療後再発要因の解析と再発予測式の作成
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演者 |
岩本 拓也(山口大学医学部附属病院消化器病態内科学) |
共同演者 |
石川 剛(山口大学医学部附属病院消化器病態内科学), 坂井田 功(山口大学医学部附属病院消化器病態内科学) |
抄録 |
【目的】当科では食道静脈瘤に対してEVL・EISを中心とした集学的治療を施行しているが,その後の再発予測は治療法の選択や経過観察の間隔を決定するうえで極めて重要である.本研究では静脈瘤再発の危険因子や再発期間などを統計学的に解析し,再発予測式の作成を目指す.【方法】2004年2月から2009年12月までに当院で食道静脈瘤に対して内視鏡的治療を施行した193名(平均年齢:64.7歳,男/女=122/71,HCV/HBV/アルコール/NASH/IPH/PBC=122/24/33/8/4/2,Child-Pugh A/B/C=86/98/9,HCC有/無=60/133)を対象とし,治療前後(1ヶ月)の血液パラメータの変化および再発期間に関する解析・検討を行った.【成績】治療前後の血液生化学検査の変化は,T.bil:1.40→1.32mg/dl,Alb:3.18→3.08g/dl,PT%:70.4→69.4%,アンモニア:61.9→56.1μmol/L,血小板数:8.22→8.50×1010/Lであり,治療による肝機能の悪化は認められなかった(Child-Pugh score:7.02→7.06点).また治療後経過をretrospectiveに検討したところ,全体での静脈瘤再発までの平均月数は26.0ヶ月(1~85)であった.治療法別の検討では,EVL群で1年以内再発率54.0%(26/46)・再発期間15.5ヶ月(1~55)であったのに対し,EIS群では再発率25.1%(37/147)・再発期間27.8ヶ月(3~85)であり,EIS群ではEVL群に比して有意に再発期間の延長が認められた(p<0.001).さらに1年以内の静脈瘤再発に関して多重ロジステイック回帰分析を行なったところ,「術前総ビリルビン値高値」「HCC:有」「治療法:EIS」「成因:アルコール」が再発期間に寄与する有意な因子として抽出され,これらより再発式(-12.5775X(T.bil値)-4.1866X(EIS=0,EVL=1)-8.8955X(HCC有=1,無=0)-6.265X(アルコール=1,その他=0)+38.5997)が導き出された.【結論】食道静脈瘤に対する内視鏡的治療後の再発は予測可能であり,独自の予測式を用いた治療後経過観察のstrategyが確立された.進行中のprospective studyの結果も含めて報告する. |
索引用語 |
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