セッション情報 パネルディスカッション9

食道胃静脈瘤治療の最前線

タイトル PD9-11:

胃底部部静脈瘤に対するB-RTO~安全性向上に関する取り組みも交えて~

演者 日高 央(北里大学消化器内科)
共同演者 國分 茂博(順天堂大学医学部付属練馬病院消化器内科), 小泉 和三郎(北里大学消化器内科)
抄録 【目的】当科では胃底部静脈瘤出血に対して,原則的にシアノアクリレートを用いた内視鏡的治療にて緊急止血し,待期・予防例に対してはB-RTOにより加療を行っている.今回,B-RTOが保険収載されるにあたり,その長期成績と安全性向上の取り組みについても検討したので報告する.【方法】1993年3月から2012年9月まで当院にて胃底部静脈瘤に対してB-RTOを施行した137例(男:女/78:59)の背景因子,合併症,予後などについてretrospectiveな検討を行った.【結果】年齢中央値63(38-83)歳,背景肝は肝硬変-132例,慢性肝炎-3例,IPH-2例.肝炎・肝硬変の原因はHCV-81例,Alcohol-20例,PBC-10例,HBV-9例,HCV+Alcohol-4例,HAV-1例,HAV+HCV-1例,HBV+HCV-1例,AIH-1例,NASH-1例,不明-6例.Child-Pugh分類ではChildA-78例,B-53例,C-6例.予防86例,待期45例,緊急6例.当科ではChild C症例は治療適応としていないため,原則緊急例のみ.生存期間の中央値2224(13-7028)日.治療後の長期経過における出血は2例(1.4%),(無出血期間569,609日).3年生存率75%,5年生存率57%,7年生存率41%.137例中55例(40.1%)が死亡しており,多くの症例が肝癌死もしくは肝硬変に伴う肝不全死であり,B-RTO施行が直接死亡に繋がった症例はなかったものの,術後の腹腔内出血により病棟でショックになった症例が発生したため,術後には頚部から腹腔内までの単純CTにて後出血の有無を確認してから病棟に戻るようにしている.また治療手技の向上により,使用するEOの量が著明に減少したため,肝機能不良例に対しても適応を拡大する傾向にある.【結語】胃底部静脈瘤に対するB-RTOの治療成績は良好であり,治療に伴う大きな合併症や死亡は認めず標準治療となり得る.
索引用語