セッション情報 パネルディスカッション9

食道胃静脈瘤治療の最前線

タイトル PD9-13:

胃静脈瘤治療の最前線~PSE併用経頚静脈的逆行性塞栓術と門脈・全身血行動態~

演者 近森 文夫(国吉病院消化器外科)
共同演者 河島 孝彦(つくば双愛病院外科), 高瀬 靖広(つくば双愛病院外科)
抄録 我々は1992年に頚静脈経由でエタノールと5%EOIを使いカテを24時間留置する手技TJOを,2008年にPSE・TJO併用療法を報告した.現在門亢症治療に際しては,#1静脈瘤出血回避・消失と#2門脈全身血行動態改善という2つの到達目標がある.今回GVを中心に#1および#2の観点から検討した.1.TJO単独例の長期予後(1991-2008,肝癌非併存例n=90):GV消失率は100%,累積生存率は5年77%であったが,5年累積TJO後食道静脈瘤(EV)増悪率はChild A10%,B 35%,C 73%と肝機能不良なほど高率(p<0.01).2.PSE・TJO併用療法で治療したGV14例(1群)とTJO単独で治療した19例(2群)の比較検討(2002-2006):GV消失率は,1群100%,2群100%.3年累積生存率は,1群92%,2群95%.TJO後累積EV発生率は,1群で1年0%,2年9%,3年9%,2群で1年27%,2年45%,3年45%と,1群で有意に低率(p<0.05).3.併用療法の門脈血行動態変化(n=16):WHVPはPSE直前23±7からPSE直後19±7に低下(p<0.01).その2週間後に施行したTJO直前には20±5からTJO翌日には22±6 mmHgに上昇(p<0.01).併用療法前後のWHVPを比べると有意差なし.脾静脈血流量は前319±131から後179±113へ有意に減少(p<0.05).4.胃腎シャント/門脈径比(GRS/PV)と全身血行動態(n=37):GRS/PVは心係数(CI)やChild-Pugh score,NH3と正の相関を,全身血管抵抗係数(SVRI)・動静脈酸素含量格差(Ca-vO2)やAlb,PT,HPTと負の相関を認めた(p<0.01).5.併用療法による全身血行動態変化(n=13):対象は右心カテを併用療法前ならびに術後に施行しえたGV.CIは前/後=4.0±0.8/4.1±0.8,SVRIは前/後=1837±431/1867±429と有意な変化を認めなかったが,Ca-vO2は前/後=2.54±0.51/3.31±0.93,酸素消費量は前/後=100±15/129±28と有意差を認めた(p<0.01).【結語】GVに対するPSE・TJO併用療法はGRS/PVを下げ門脈・全身血行動態・予後を改善する.以上,GV治療最前線を動画で供覧する.
索引用語