セッション情報 パネルディスカッション9

食道胃静脈瘤治療の最前線

タイトル PD9-14:

食道胃静脈瘤治療におけるPSEの位置づけ

演者 谷合 信彦(日本医科大学消化器外科)
共同演者 吉田 寛(日本医科大学多摩永山病院外科), 内田 英二(日本医科大学消化器外科)
抄録 【目的】教室では今まで食道胃静脈瘤治療においてPSEの有効性を報告してきた.しかし,内視鏡治療の進歩とともに食道静脈瘤に対しては内視鏡治療のみで十分な治療効果を得れると考えている.一方,胃静脈瘤に対してはB-RTOを中心とするIVRを治療の基本としている.今回,食道胃静脈瘤治療にPSE併施例を検討し,PSEの位置づけを検討した.【対象と方法】I.2002~2012年の11年間に170例189回,PSEを施行した.そのうち食道静脈瘤治療に施行した30例を対象とした.対象症例の背景,PSE併施の理由,血小板数(Plt)・肝予備能の変化を検討した.II.孤立性胃静脈瘤に対して施行したB-RTO+PSE(併用例)18例を対象として,胃静脈瘤の消失率,消失例の累積再発率,食道静脈瘤の新生/悪化率,追加治療率をB-RTO単独(単独例)30例と比較検討した.【成績】I.対象の内訳はChild-PughA:B:C 6:13:11,腹水2例,脳症12例に認めた.HCC合併10例であった.施行理由はPlt低値,肝予備能/脳症の改善,TAEと併施,内視鏡治療難治症例などがあった.Plt,Alb,T-B,PTの術前,術後2年後値はそれぞれ5.39,3.30,2.04,20.8と9.2,2.94,2.72,59.9とPltは改善するがAlbは低下し,T-Bは上昇していた.PSE全症例と比較すると,術後2年後有意にのAlbは低値,T-Bは高値であった.II.消失率は併用例66.9%,単独例40.0%と有意に併用例が高かった.3年再発率はそれぞれ7.9%,41.5%と併用例は有意に低かった.食道静脈瘤の新生/悪化は併用例で2例(11.1%),単独群22例(73.3%),追加療率は併用例2例(11.1%),単独例20例(66.7%)とともに併用例が有意に低かった.【結論】食道静脈瘤に対してPSE併施は,血小板改善以外は認めるが,肝予備能改善はあまり期待できず,症例選択には十分な注意が必要である.胃静脈瘤に対しては胃静脈率の消失率を上げ,食道静脈瘤の新生/悪化を防ぎ,食道静脈瘤治療の必要性をなくす有効な治療法で,B-RTO時PSEを併用すべきである.
索引用語