セッション情報 パネルディスカッション10

AIP―概念,診断,治療のUpdate―

タイトル PD10-5[追]:

自己免疫性膵炎診断におけるEUS-FNAの有用性

演者 奥野 充(岐阜大学第一内科)
共同演者 岩下 拓司(岐阜大学第一内科), 安田 一朗(岐阜大学第一内科)
抄録 自己免疫性膵炎(AIP)診断における膵病変の組織学的検討は,癌との鑑別・病因診断のために重要である.EUS-FNAでは安全かつ効率的な検体採取が可能であり,癌との鑑別における有用性は既に認識されているが,FNA検体においてAIPを組織学的に診断する上での検討はあまりなされていない.【目的】AIP診断における大口径針(19G針)を用いたEUS-FNAの組織学的診断能について検討した.【方法】2003年12月から2013年6月までに臨床的にAIPと診断し,かつ19G針でEUS-FNAを施行した63例を対象とし,臨床・病理所見をretrospectiveに検討した.AIPの組織学的診断は自己免疫性膵炎臨床診断基準2011の病理所見診断項目を基準とした.【結果】男性53例/女性10例,年齢中央値64歳(36-86歳).主訴は腹痛23例,黄疸19例,体重減少3例,頸部リンパ節腫脹2例,偶然指摘9例,その他7例.腫大部位は膵全体23例,頭部7例,体部2例,尾部3例,頭体部10例,体尾部13例,頭部と尾部5例.抗核抗体陽性(≧40倍)26例(41%),血清IgG上昇(>1800mg/dl)34例(54%),血清IgG4上昇(≧135mg/dl)54例(86%)であった.EUS所見は全例で病変部に斑状・網目状高エコーを伴う低エコーを認め,40例(63%)で被膜様構造を認めた.19G針を用いたFNAは全例で成功しており,穿刺経路は経胃60例,経十二指腸3例,穿刺回数中央値は2回(1-4回).検査後1例に一過性の腹痛を認めたが,保存的に軽快.検体量は4例で不十分であったが,残り59例の組織学的検討では,高度のリンパ球・形質細胞浸潤,線維化を51例(81%),IgG4陽性形質細胞浸潤を17例(27%),花筵状線維化を53例(84%),閉塞性静脈炎を25例(40%)認めた.これらの組織学的所見より,病理所見診断項目のIVa(3項目以上)を34例(54%),IVb(2項目)を16例(25%)で満たし,全体では50例(79%)で診断項目を満たした.【結論】AIP診断における19G針を用いたEUS-FNAは,癌との鑑別のみならず,AIPを病理組織学的に積極的に診断する上でも有用である.
索引用語