セッション情報 パネルディスカッション10

AIP―概念,診断,治療のUpdate―

タイトル PD10-6[追]:

高IgE血症を伴う自己免疫性膵炎の臨床的検討

演者 牛島 知之(久留米大学消化器内科)
共同演者 加治 亮平(社会保険田川病院内科), 岡部 義信(久留米大学消化器内科)
抄録 【目的】自己免疫性膵炎(AIP)において高IgE血症,好酸球増加を伴う症例が散見され,AIPの病態にアレルギーの関与も疑われる.当科で経験した高IgE血症を伴うAIPの臨床像を検討し,その臨床的意義を明らかにすることを目的とした.【対象と方法】2000年9月から2013年8月までに当科で診断したAIP 53例中,診断時に血清中IgEが測定された37例を対象とし,以下の項目,1)高IgE群(>170IU/ml)と低IgE群(<170IU/ml)別にみた臨床像の比較(年齢,性別,IgG,IgG4,好酸球,膵病変の範囲(瀰漫性/限局性),膵外病変の有無),2)IgEとIgG,IgG4,好酸球の相関,3)病変範囲,膵外病変の有無でのIgE,IgG,IgG4,好酸球の比較,4)ステロイド治療前後のIgE,IgG,IgG4,好酸球の推移,5)再燃の有無別にみたIgE,について検討した.【結果】1)AIP 37例中,高IgE群30例,低IgE群7例であった.IgG4中央値は低IgE群に比し高IgE群で有意に高値であった(531IU/ml vs. 232IU/ml,P=0.038).その他の項目では両群間に有意差は認めなかった.2)IgEとIgG4(P=0.01),IgGとIgG4(P<0.0001)の間に相関を認めた.3)IgEは病変範囲別,膵外病変の有無別では有意な差はみられなかった.IgGは瀰漫性および膵外病変有りで高値,IgG4は膵外病変有りで高値であった.4)ステロイド治療を行った21例の治療前後の推移では,IgGとIgG4が有意に低下したが,好酸球とIgEは変化がみられなかった.5)再燃の有無別にみたIgEに有意差はみられなかった.【結論】高IgE群のIgG4は低IgE群に比し高値であり,IgG4とIgEに相関がみられた.一方,今回の検討では,AIPにおけるIgE値の臨床的意義を見出せなかった.今後,症例の蓄積による更なる検討が必要と思われた.
索引用語