セッション情報 パネルディスカッション10

AIP―概念,診断,治療のUpdate―

タイトル PD10-7:

1型と2型自己免疫性膵炎の画像所見の検討

演者 植木 敏晴(福岡大学筑紫病院消化器内科)
共同演者 大塚 雄一郎(福岡大学筑紫病院消化器内科), 松井 敏幸(福岡大学筑紫病院消化器内科)
抄録 【目的】自己免疫性膵炎(AIP)の国際分類(ICDC)では,1型と2型が提唱されているが,それぞれの画像所見を詳細に検討した報告は少ない.そこで1型と2型AIPの画像所見が異なるか否かを明らかにすることを目的とした.【方法】当科で経験した1型AIP 16例(1型)と2型AIP(2型)17例(炎症性腸疾患合併12例)を対象とした.AIPの診断は,ICDC(definite or probable)によった.検討項目は,1型と2型AIPの,1.US,EUSと造影US,2.Dynamic-CT,3.ERCP所見である.【成績】1型と2型はそれぞれ,1.USとEUSでは,全例膵内エコーは低エコーで,点状高エコーは94%と100%と,93%と86%で,索状エコーは69%と71%と,71%と71%で,膵表面の凹凸不整は1型の1例を除いて全例認め,有意差はなかった.造影USでは1型の1例を除いて網目状エコーを呈した.早期濃染は82%と86%で有意差はなかった.2.Dynamic-CTでは,限局性は44%と18%で有意差はなかったが,漸増性濃染は100%と71%で,2型は29%が早期濃染を呈し,2型は漸増性濃染が少なかった(P=0.04).膵周囲の液体貯留は0%と18%と有意差はなかったが,被膜様構造は50%と18%で,1型に多い傾向であった(P=0.07).3.ERCPでは,胆管狭窄は81%と18%で,2型は低頻度であった(P<0.01).膵管狭細部は,剪定状・糸状と微細な数珠状がそれぞれ,63%と38%と,29%と71%で,2型は微細な数珠状が多い傾向であった(P=0.08).まとめ:2型AIPは,超音波画像上多くが1型と類似の所見を呈したが,CT上の造影パターンや胆管狭窄の頻度が異なっていた.さらにCT上の被膜様構造の頻度やERCP上の膵管狭細部の所見が異なる傾向にあった.【結論】炎症の主座が主に膵野や膵管周囲に存在する1型AIPと膵管や膵管周囲に存在する2型AIPは異なる範疇の疾患である可能性が示唆された.
索引用語