セッション情報 パネルディスカッション10

AIP―概念,診断,治療のUpdate―

タイトル PD10-8[追]:

ICDCにおける2型AIPおよびAIP-not otherwise specified(AIP-NOS)の実態

演者 水野 伸匡(愛知県がんセンター中央病院消化器内科)
共同演者 原 和生(愛知県がんセンター中央病院消化器内科), 山雄 健次(愛知県がんセンター中央病院消化器内科)
抄録 【目的】ICDCの特徴は,病理像のみで診断可能,欧米に比較し日本では極めて稀とされる2型AIP(2型)の診断が可能,および画像および膵管像の典型所見とステロイドに対する反応性(Rt)のみの症例をAIP-NOS(以下NOS)として新たなカテゴリーに分類した点である.本研究では2型およびNOSの実態を明らかにすることを目的とした.【方法】1997年から2012年までにAIPが疑われ,膵癌が否定された51例(男:39,女:12,年齢中央値64歳(23-85))を対象とし,ICDCにて1型,2型,NOS,に分類し,2型およびNOSの診断方法,臨床像について検討した.【成績】AIPと診断できた症例は51例中45例であった.その内訳は40例が1型(definite 32,probable 8),5例が2型(definite 4,probable 1),残る6例は全例NOSであった.2型と診断された5例のうち,1例は生検では非特異的所見であったが,潰瘍性大腸炎の合併とRtよりprobable 2型と診断した.2例は典型画像とRtがあり,core生検でidiopathic duct-centric pancreatitisを認めdefinite 2型と診断した.残りの2例は限局性腫瘤,限局性膵管狭窄を認め,膵癌の疑いで切除をし,最終的にdefinite 2型と診断した.3例にステロイド投与が行われ,ステロイドを投与しなかった切除症例を含め5例全例で再燃を認めていない.一方NOSと診断した6例中,生検は5例で行われたが全て非特異的所見であった.ステロイド治療にて寛解し,経過観察を行っていた1例(女性,診断時年齢54歳,診断時血清IgG4:3 mg/dl)で再燃(膵全体の腫大)を認めた.【結論】ICDCでは病理像(生検あるいは切除検体)を加えることによって2型AIPも診断できるようになった.2型は51例中5例(10%)に認め,日本人でも決して稀ではないことが示唆された.NOSの6例中1例では再燃を認め,NOSと診断された症例の中には確定診断できなかった2型の他,1型が含まれている可能性が示唆された.今後はNOSと診断された症例の実態解明が必要である.
索引用語