セッション情報 |
パネルディスカッション10
AIP―概念,診断,治療のUpdate―
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タイトル |
PD10-14:自己免疫性膵胆道疾患における治療法別の長期予後:再発と癌との関係
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演者 |
窪田 賢輔(横浜市立大学附属病院消化器内科) |
共同演者 |
細野 邦広(横浜市立大学附属病院消化器内科), 中島 淳(横浜市立大学附属病院消化器内科) |
抄録 |
【背景】自己免疫性膵炎(AIP),IgG4関連硬化性胆管炎(IgG4-SC)の標準治療はステロイド投与(CST)であるが,診断困難であり切除例,ドレナージ施行例および経過観察例も存在する.これら治療法別の長期予後については明らかでない.【目的】治療法別の再燃について検討し,癌との関連を報告する.【方法】2011の診断基準で準確診以上のAIP,IgG4-SC122例の初回治療について,CST導入群(P群),病変(肝臓,胆管,膵)を切除した切除群(R群),閉塞性黄疸に対し内視鏡的,経皮的またはバイパス手術を行った(D群),経過観察を行った(W群)に分類し,再燃と癌合併について検討した.【結果】AIP122例は男女比88:34,平均年齢は65歳で,全体での再燃は34.4%(42/112)であった.再燃例はP群37.2%(29/78),R群30%(3/10),D群55.6%(5/9),W群20%(5/25)であった.再燃に対する治療はCSTを行い,38例は有効で,4例は再々発のため免疫抑制剤を導入した.再燃の因子について,単変量解析では糖尿病の存在,血清IgG高値,血清IgG4高値,十二指腸乳頭部腫大所見,膵のdiffuseな腫大,黄疸発症が有意であった(p<0.05).多変量解析では,十二指腸乳頭部の腫大所見(p=0.0112,OR4.812)と黄疸発症(p=0.0060,OR5.052)が独立因子であった.癌合併は16.4%(22/122)%に認められた(AIP診断と同時癌は5例,治療後は9例).癌の詳細は膵4,大腸5,肺3,胃4,胆道2,血液2,腎臓1,膀胱1,中枢神経1,乳房1であった.2例は重複癌であった.膵癌はAIP発症から3-6年以内に発症していた.癌合併はP群17.9%(14/78),R群30%(3/10),D群22.2%(2/9),W群20%(5/25)であり,P群で低い傾向にあった.【考察】自己免疫性膵胆道疾患の再燃は,膵頭部に強い炎症がおこり,黄疸発症をきたす症例がhigh riskであった.ステロイド投与群でも高率であり,経過観察群でもそのまま寛解を認める症例もあり,CSTは全症例に必要でない可能性が示唆された.癌合併も認められ,今後risk因子の検討が必要である. |
索引用語 |
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