セッション情報 パネルディスカッション11

IPMNの経過観察,治療のタイミングと予後

タイトル PD11-2:

主膵管型IPMNに対する術式選択とタイミング

演者 羽鳥 隆(東京女子医科大学消化器外科)
共同演者 白鳥 敬子(東京女子医科大学消化器内科), 山本 雅一(東京女子医科大学消化器外科)
抄録 【目的】主膵管型IPMNは悪性例が多く主膵管径5~9mmのworrisome featureを除けば,状況が許す限り手術適応とされているが,術式選択やタイミングについては課題が残されている.そこで,主膵管型IPMNの悪性の特徴,術式選択とタイミングについてretrospectiveに検討した.【対象】1981-2012年のIPMN切除例452例の内,6mm以上の部分的あるいはびまん性の主膵管拡張が主体で分枝の拡張が10mm未満のものを主膵管型とした場合の89例を対象に検討した.【結果】膵頭切除が25例(28%),膵中央切除(MP)が5例(6%),尾側膵切除(DP)が39例(44%),膵全摘(TP)が20例(22%)で,膵温存術式は膵切離部位の主膵管径が5mm以下,膵切除断端の迅速組織診でHigh-grade dysplasia(HG)以上なし,残膵予定の術中膵液細胞診がClass III以下,残膵が5cm以上は確保でき膵機能の温存が期待される症例に施行されていた.組織型はLow-grade dysplasia(LG)25例(28%),Intermediate-grade dysplasia(MG)8例(9%),HG 20例(22%),Associated invasive carcinoma(Invasive)36例(41%)で,主膵管径,壁在結節高はLG+MGでは平均14.4mm,3.5mmであったが,HG+Invasiveでは17.1mm,10.6mmで主膵管径がより太く,壁在結節が高い傾向があった.追加膵切除(膵断端がHG以上)は5例(6%)で1例はTPに術式変更となっていた.TP例を除く残膵治療例は9例(13%)で手術間隔は平均43ヵ月(18-78),残膵全摘7例(初回PPPD 3,DP 4),残膵切除(PPPD)2例(初回MP 2)であった.他病死を含めた5生率はLG 100%,MG 86%,HG 93%,Invasive 63%であったが,他病死を除くとLG,MG,HGは100%,Invasive 67%であった.【結論】主膵管径が太く,壁在結節が高い主膵管型IPMNは悪性の可能性が高く切除すべきである.残膵にHGの遺残の可能性があれば膵全摘を考慮し,膵温存術式では追加膵切除や残膵切除を念頭においた最低半年毎の長期に亘るfollow-upが必要である.
索引用語