セッション情報 パネルディスカッション11

IPMNの経過観察,治療のタイミングと予後

タイトル PD11-3:

主膵管型,混合型IPMN経過観察例の検討

演者 石田 潤(神戸大学肝胆膵外科)
共同演者 松本 逸平(神戸大学肝胆膵外科), 具 英成(神戸大学肝胆膵外科)
抄録 【はじめに】膵管内粘液乳頭腫瘍(IPMN)のうち主膵管型,混合型については,その悪性頻度の高さゆえに手術適応とされる.よって経過観察症例は少なく,その自然史については不明な点が多い.当院で経過観察しえた主膵管型,混合型IPMN症例について検討を行った.【対象と方法】2007年3月以降,当院で臨床的に主膵管型もしくは混合型IPMNと診断され1年以上経過観察された20例を対象とした.20例中11例は経過観察後に手術を施行した.初診断時と経過観察後の画像(CT,MRI)にて主膵管径,充実成分の有無を比較し,2mm以上の主膵管径の増大または充実成分の出現を認めた症例を進展群(12例),画像上変化を認めなかった症例を不変群(8例)として両者を後向きに比較検討した.【結果】経過観察理由は手術拒否9例,高リスク2例,他臓器癌2例,その他7例であった.平均経過観察期間は進展群30±16ヶ月,不変群27±19ヶ月であり差を認めなかった(P=0.56).進展群の12例中6例,不変群の8例中5例に手術が施行され,進展群では6例中5例が最終診断IPMCであったのに対し,不変群では切除5例全てがIPMAであった.IPMCの内訳はnon-invasive 2例,minimally invasive 1例,invasive 2例(T1b,T3各1例)であった.進展群と不変群の間で性別,初診断時年齢,症状の有無,初診断時の主膵管径,腫瘍マーカーなどを比較したが,年齢(進展群72±7歳,不変群64±10歳,P=0.04)以外に有意差のある因子を認めなかった.【考察】画像上の腫瘍進展が悪性の指標であることが示唆された.進展群では不変群と比べて有意に年齢が高く,高齢患者における主膵管型IPMNの悪性度の高さが窺われた.一方で腫瘍進展の有無に経過観察期間は関連せず,一定期間の経過観察後も画像上変化を認めない症例が散見された.進展群で手術されIPMCと診断された5例中2例がInvasive IPMCであり,主膵管型IPMNを経過観察する際には画像上の変化を認めた場合可及的速やかな切除が必要と考えられた.
索引用語