セッション情報 パネルディスカッション11

IPMNの経過観察,治療のタイミングと予後

タイトル PD11-4:

IPMNの治療方針決定に有用な検査法の検討

演者 深澤 光晴(山梨大学第一内科)
共同演者 佐藤 公(山梨大学第一内科), 榎本 信幸(山梨大学第一内科)
抄録 【目的】IPMN切除例の病理結果および経過観察例の自然史を解析し,治療方針決定および経過観察に有用な検査法を同定する.【方法】IPMN切除80例(主膵管型14,分枝型66)および1年以上の経過観察例216例(観察期間中央値49ヵ月)を対象とした.検討項目:1)嚢胞径,主膵管径,結節高,血清(CEA,CA19-9),CT(造影結節),MRI(急峻な膵管径変化,DWI拡散低下),造影EUS所見,膵液(細胞診,CEA)について病理結果と対比し,悪性予測因子を同定した.また,経過観察例ではIPMNの悪性化,通常型膵癌(PC)併存について上記検査法の有用性を検討した.【結果】1)主膵管型は悪性79%,浸潤癌50%であり,EUSでの壁在結節の存在が最も有用な所見であった(感度100%,特異度67%).結節を認めないWorrisome future(WF)の2例はいずれも腺腫であった.分枝型は,悪性39%,浸潤癌26%.EUSでの結節10mm以上,EUSでの造影パターン,MRI-DWI拡散低下,膵液中CEA>30ng/dlが悪性予測に有意な因子であり,EUS結節高とMRI-DWI所見の組み合わせが,感度93%,特異度79%と最も有用であった.また,EUSで造影される結節の増大に伴い悪性率が上昇し,10mm以上および結節と実質境界部の乏血化が浸潤癌の予測所見であった.2)経過観察例のうち,病変の進展(主に結節増大)のため12例に対して切除を行い,腺腫10,非浸潤癌1,浸潤癌1であった.PC併存は16例あり,同時診断11,経過中出現5であった.PC平均腫瘍径は同時診断例32mm,follow中出現14mmであった.CTでは2例で腫瘍の描出不能であったが,MRIでは全例で拡散低下を認めた.通常型膵癌発生時のIPMNは平均嚢胞径21mm,主膵管径4mm,壁在結節はいずれも認めず,WFを満たさない症例であった.【結語】IPMNの治療方針決定,経過観察症例のIPMN悪性化と通常型膵癌併存の診断において,分解能の高いEUSによる形態・血流診断とMRI拡散強調画像による質的診断を組み合わせることが悪性予測に有用と考えられた.
索引用語