セッション情報 パネルディスカッション11

IPMNの経過観察,治療のタイミングと予後

タイトル PD11-5:

分枝型IPMNの手術適応の検討~国際診療ガイドライン2012の検証結果より~

演者 三浦 晋(東北大学病院消化器内科)
共同演者 菅野 敦(東北大学病院消化器内科), 下瀬川 徹(東北大学病院消化器内科)
抄録 【背景】分枝型IPMN(BD-IPMN)は,slow growingな腫瘍である事や,切除後も残膵発癌のリスクが残る事から,良性例を含めず悪性例のみを手術適応とする基準が求められる.【目的】国際診療ガイドライン2012のBD-IPMN診療アルゴリズムの妥当性を検証し,適切な手術適応を明らかにすること.【対象・方法】対象は,1994年1月から2013年5月の間に当科で診療を行ったIPMN患者519例中,外科治療を行い十分な画像所見の検討が可能だったBD-IPMN 51例とし,合併膵癌例は除外した.invasive carcinoma(IC),high-grade dysplasia(HD)を悪性,low~intermediate-grade dysplasia(LD)を良性と定義した.各々の臨床的背景因子を用い,国際診療ガイドライン2012のアルゴリズムから手術適応を決定した場合の良悪性診断の妥当性を検討した.【結果】対象は,悪性34例(IC 9例,HD 25例),良性(LD)17例に分類された.High-risk stigmata(HS)は悪性26例(IC 8例,HD 16例),良性(LD)5例に認められ,HSによる悪性の感度は76.4%,特異度70.5%,正診率74.5%であり,HSによる切除適応には良性例が含まれていた.次に診療ガイドラインにおける診断項目(閉塞性黄疸,CTによる結節,主膵管径,膵炎発症,拡張分枝膵管径,膵液細胞診)にEUSによる壁在結節隆起高,腫瘍マーカー(CEA,CA19-9)を含めて良悪性間で比較検討した.単変量解析では,主膵管径(p=0.0018),壁在結節隆起高(p=0.0031)が有意な因子として抽出され,有意な因子を用いて多変量解析を行うと,壁在結節隆起高(p=0.02)のみが悪性を示す独立した因子として同定された.壁在結節高のcut off値はROC曲線から10mmと定義され,これを用いた悪性の感度は54%,特異度92.3%,正診率64.6%であった.【結論】国際診療ガイドライン2012のHSには良性例が含まれていた.EUSによる壁在結節隆起高は,10mmという基準を用いると,良性例の手術を回避できる可能性が高く,手術適応の基準として有用であると考えられた.
索引用語