セッション情報 |
パネルディスカッション11
IPMNの経過観察,治療のタイミングと予後
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タイトル |
PD11-8:IPMNにおける膵発癌リスクと推定膵癌倍加時間に基づいた経過観察法の検討
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演者 |
丹野 誠志(イムス札幌消化器中央総合病院消化器病センター) |
共同演者 |
羽廣 敦也(イムス札幌消化器中央総合病院消化器病センター), 林 明宏(イムス札幌消化器中央総合病院消化器病センター) |
抄録 |
【目的】IPMNにおける膵発癌リスクを評価するとともに,膵癌発生例での推定腫瘍倍加時間(estimated Doubling Time:eDT)を基に,適切なIPMN観察法,タイミングについてretrospectiveに検討する.【対象と方法】新ガイドラインに基づいて分類した分枝型182例を対象とした.全例,初診時にEUSを含む検査を施行し,壁在結節(MN)のみられないことを確認した.6~12か月ごとに造影CT,MRCP+EUSを行い,IPMNの進展を評価,膵癌発生例ではeDTを算出し,これを基に早期診断が困難であった症例における適切な経過観察法について検討した.【結果】初診時には全例HRS(-)で,WF(+)は嚢胞径3cm以上が28例であった.観察期間89か月で,34例に嚢胞径増大,MN出現を認めた.このうち15例で膵切除が行われ,病理学的にはlow-grade dysplasia12例,high-grade dysplasia(非浸潤癌)1例,浸潤癌1例で,浸潤癌の1例は観察期間38か月で初診時嚢胞径18mm,切除時嚢胞径35mm,MN5mmであった.嚢胞径増大のみで切除した9例は全例がlow-grade dysplasiaであった.膵癌発生例は14例で,膵癌の発生時期は観察開始から平均74.9か月と長期間にわたっていた.遡及的に膵腫瘤性病変を指摘可能であった4例を基に算出したeDTは平均180.3日であった.一方,過去の画像検査で先行する膵腫瘤性病変の指摘が困難であった10例において,CTスライス幅を基にした推定先行病変径から算出されたeDTは60~192.3日であった.1年後に腫瘍径25mmで診断された症例で,6か月ごとの定期検査が行われていれば,eDTを基にした診断6か月前の腫瘍径は10mm程度と推定された.【結論】HRS(-)IPMNからの由来浸潤癌発生は観察例で0.5%であったのに対して,通常型膵癌発生は7.7%と高かった.由来浸潤癌発生例は比較的短期間に進展した症例であること,さらに通常型膵癌発生例におけるeDTから,IPMNの経過観察法としては,検査間隔を少なくとも6か月ごととし,EUS・MRCPに加え,thin-sliceでの膵造影CTが必要と考えられた. |
索引用語 |
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