セッション情報 パネルディスカッション11

IPMNの経過観察,治療のタイミングと予後

タイトル PD11-10:

IPMN併存膵癌とIPMN切除後残膵再発例の臨床病理学的検討

演者 松森 友昭(手稲渓仁会病院消化器病センター)
共同演者 真口 宏介(手稲渓仁会病院消化器病センター), 小山内 学(手稲渓仁会病院消化器病センター)
抄録 【目的】IPMN併存膵癌例とIPMN切除後の残膵再発例の臨床病理学的特徴を検討する.【対象と方法】対象は2013年9月までに診療したIPMN 829例(切除134,経過観察695)中,併存膵癌を認めた38例(4.6%,全例分枝型,男女比12:26,年齢中央値70歳)とIPMN切除107例中残膵に異時性にIPMN再発あるいは併存膵癌を認めた7例(6.5%,全例分枝型,男女比2:5,年齢中央値65歳)である.検討項目はI-1)併存膵癌の背景と病変部位,2)治療法,3)予後,II-1)術後IPMN再発例の背景,2)治療法,3)予後とした.【結果】I-1)併存膵癌38例はIPMN診断時併存22(58%),経過観察中16(42%).膵癌発生部位はPh:20,Pbt:18であり,IPMNと離れて発生22,隣接発生16であった.また,経過観察中膵癌発生例において診断までの期間の中央値は52.2ヵ月であった.2)切除は27(71%)に施行し,診断時併存16,経過観察中11,fStageI~IIIの割合は診断時併存63%(10/16),経過観察中82%(9/11)であった.3)膵癌診断時からのMST(月)は全体で30.1,診断時併存例28.4,経過察例31.8であった.II-1)残膵再発7例は全例IPMNの異時性再発であり,1例は膵癌が併存していた.初回IPMN病変はPbt 7で全例DPを施行し,病理所見はlow~intermediate grade dysplasia(LD)2,high grade(HD)4,minimally invasive carcinoma(MC)1であった.切除再発の7例中2例が分枝内,5例は主膵管から分枝内に広範囲に病変が認められ,再発までの期間の中央値は32.4ヵ月であった.2)残膵切除5(病理所見はLD 1,HD 1,MC 3)でMCの1例では離れた部位に通常型膵癌の併存を認めた.残りの2例では化学療法1,経過観察継続1とした.3)全例生存中(術後観察期間中央値32.2ヵ月).【結語】IPMNでは4.6%に併存膵癌を認めた.また,IPMN切除後6.5%にIPMNの異時性再発を認め,全例DP後で再発までの期間は32ヵ月であった.残膵の併存膵癌は1例のみであった.IPMNでは経過観察例には併存膵癌,切除後には残膵のIPMN異時性再発を念頭においた定期的なfollow upが必要である.
索引用語