セッション情報 |
パネルディスカッション11
IPMNの経過観察,治療のタイミングと予後
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タイトル |
PD11-11:当院におけるIPMN併存膵癌及び切除後再発例の臨床病理学的検討
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演者 |
與儀 竜治(愛知県がんセンター中央病院消化器内科) |
共同演者 |
肱岡 範(愛知県がんセンター中央病院消化器内科), 山雄 健次(愛知県がんセンター中央病院消化器内科) |
抄録 |
【背景】IPMNはその癌化に加え通常型膵癌(PDAC)の合併頻度も高く,適切な経過観察が重要である.【目的】IPMN併存PDACの早期診断法とIPMN切除後の至適経過観察法の確立.【対象と方法】1989年1月~2010年9月にIPMNと診断した540例を対象とした.経過観察は基本的に年1回EUSを施行し,IPMN切除後症例は原則年2回の造影CTを行った.【結果】1)540例中で2年以上経過観察しえた症例は237例であった.うち14例(5.9%)に経過中に癌を認め,その内訳はIPMC8例で,非浸潤癌(CIS):微小浸潤癌(T1a):浸潤癌=6:1:1,PDAC 6例であった.PDACの発病平均年齢75.3歳,観察期間5.6年(2.5-10.3)腫瘍平均径12.5mm(7-15)であり,PDAC発症前IPMNの形態は単発:多発=2:4,分枝型:混合型=4:2で平均の嚢胞径:結節高:主膵管=23.3:0.6:2.7mmであった.発見契機はEUS:MRCP=5:1で,全例切除できたが,病期はcStage III(JPS)であった.4例にPDAC発見前(1-29ヶ月)にERPを施行しており,後方視的検討では全例で腫瘍部付近に膵管狭窄像を認めた.2)540例の中で切除例は142例で,内訳は腺腫:CIS:T1a:浸潤癌=72:30:9:25,併存PDAC 6例であった.再発は30例(21.1%)に認めた.再発形式は残膵11例,膵外19例であった.残膵再発11例の内訳はIPMN再発9(腺腫:CIS:T1a:浸潤癌=2:2:2:3),PDAC再発2例で,初回切除時の組織は腺腫:CIS:T1a:浸潤癌=5:1:5:0であった.膵外再発19例の内訳は腺種:CIS:浸潤癌=0:1:18例で,再発部位は腹膜:肝:LN:肺:局所=8:5:2:2:2であった.再発形式について浸潤癌(PDAC+IPMC)は全例膵外で,腺種~T1aでは残膵再発が主であった.【考察】1)EUSを中心としたIPMN併存PDACは全例,stageIIIであった.さらなる早期発見のためにはMRCP/ERCPを積極的に併用し膵管の変化に着目することが肝要と考えられた.2)切除膵が浸潤癌でなければ,残膵再発を念頭にIPMN経過観察群と同様の手法によるfollow-upが必要であり,浸潤癌の場合はCTを中心とし膵外再発に注意することが重要と思われた. |
索引用語 |
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