セッション情報 ワークショップ1

アカラシアの治療戦略,治療の第一選択は

タイトル W1-2:

食道アカラシアに対する初回治療としてのバルーン拡張術の検討

演者 宮原 良二(名古屋大学消化器内科学)
共同演者 舩坂 好平(名古屋大学光学医療診療部), 後藤 秀実(名古屋大学消化器内科学)
抄録 【目的】食道アカラシアに対する初回治療は,バルーン拡張術,外科的筋切開術に加え,新しいPOEM手術も提唱されている.当院では,初回治療として主にバルーン拡張術を行い,効果不十分あるいは短期再発例に対して腹腔鏡下筋切開術を選択している.今回,初回治療としてのバルーン拡張術の有用性を検討した.【方法】2001年1月10日から2013年8月までに,当院にて初回治療としてバルーン拡張術を行った連続46症例を対象とし,バルーン拡張術の治療成績について検討した.平均年齢は51.3歳,男性24名,女性22名であり,平均観察期間は3.3年であった.術前のXP所見では拡張型がSt型35名,Sg型11名であり,拡張度はGrade I 20名,Grade II 22名,Grade III 4名であった.拡張術は,pneumatic balloon(径30mmまたは35mm)を使用し,拡張圧は最大18Psiにて施行した.また,治療1ヶ月に内視鏡,食道内圧にて効果判定を行っている.【成績】1)治療成績:46名中42名で奏効し,奏功率は91.3%であった.奏効率については,拡張型・拡張径で有意差は無く,非若年者(40歳以上)と若年者(40歳未満)では100%と66.7%であり,有意に若年者で奏効率が低い結果であった(P<0.05).2)LES圧の変化:LES圧は治療前37.8mmHg,治療後は17.7mmHgと低下していた.治療後のLES圧と再発率を比較したが,非再発例で17.5 mmHg,再発例で16.9mmHgと差を認めなかった.3)合併症:1例2.1%で穿孔の合併を認めたが,保存的治療にて軽快していた.4)再発の有無:拡張術が奏功した42例中7例16.7%に再発を認めた.再発までの期間は平均3年4か月であった.再発率も若年者で58.3%と有意に高かった(P<0.05).【結論】バルーン拡張術は,非若年者に有用な治療法であることが示唆された.
索引用語