セッション情報 ワークショップ1

アカラシアの治療戦略,治療の第一選択は

タイトル W1-3:

High Resolution Manometryによる食道アカラシア患者の診断と治療効果

演者 山崎 尊久(兵庫医科大学上部消化管科)
共同演者 富田 寿彦(兵庫医科大学上部消化管科), 三輪 洋人(兵庫医科大学上部消化管科)
抄録 【背景】食道アカラシアの診断には食道X線造影や,上部消化管内視鏡検査(EGD)が以前より用いられ,食道アカラシア取扱い規約第4版でも,その有用性が記載されている.また,High Resolution Manometry(HRM)はLES弛緩や食道体部運動の評価が可能な検査法で,近年,新しい食道内圧測定によるシカゴ分類が提唱され,またその治療効果は食道内圧所見と関連していることが海外で報告されている.【目的】今回我々は上部消化管症状を主訴に来院し,HRMで食道アカラシアと診断した患者の治療効果とHRMの所見について比較検討した.【対象と方法】2012年6月から2013年9月までにつかえ感,胸やけなどの症状を主訴に当科を受診し,EGDで器質的疾患を除外した73名にHRMを施行し,Pandolfinoらの基準を用いて食道アカラシアと診断した30名を対象とした.【結果】対象症例の平均年齢は51.7±20.7歳,男性/女性:13/17名.HRMの内訳はTypeI:23.3%(7例),TypeII:70%(21例),TypeIII:6.7%(2例)であった.Ca拮抗薬あるいは内視鏡的バルーン拡張術を行い治療成功(拡張後につかえ感や口腔内逆流がほとんど消失しその状態が6か月以上持続)した症例は76.7%(23例)で,内訳はTypeI:57.1%(4/7),TypeII:85.7%(18/21),TypeIII:50%(1/2)であった.またCa拮抗薬あるいはバルーン拡張による治療が不成功で最終的に手術を施行した症例は23.3%(7/30)で,内訳はTypeI:42.9%(3/7),TypeII:14.3%(3/21),TypeIII:50%(1/2)であった.患者背景では35歳以下ではCa拮抗薬あるいはバルーン拡張での治療成功率は14.3%(1/7)と効果不良であり,外科的治療を要した.【結語】当院における食道アカラシアの治療成功率は海外の報告と同様にHRMの所見と関連しており,特に若年例においてはバルーン拡張の治療効果は不良であると考えられた.
索引用語