セッション情報 ワークショップ1

アカラシアの治療戦略,治療の第一選択は

タイトル W1-6:

食道アカラシアの治療におけるボツリヌストキシン局注療法の意義

演者 山口 太輔(佐賀大学医学部消化器内科)
共同演者 下田 良(佐賀大学医学部光学医療診療部), 岩切 龍一(佐賀大学医学部光学医療診療部)
抄録 【目的】食道アカラシアは食道筋層の神経叢の障害により生じる食道胃接合部の弛緩不全と二次的に食道の拡張をきたす疾患であり,その治療としては下部食道括約部を開大させることを目的に,内服加療,内視鏡的バルーン拡張術,内視鏡的食道筋層切開術(POEM)や手術療法による加療が行われており,当院ではボツリヌス毒素局所注入による保存的加療を行っている.今回我々は,ボツリヌス毒素局所注入療法にて良好な経過が得られた食道アカラシア10例の経験を経て,その有効性と意義について検討した.【対象】2008年から2013年の間に佐賀大学医学部附属病院にて食道アカラシアと診断した10症例を対象に検討した.内訳としてアカラシア症例は男性5例,女性5例で,平均年齢は55(33-72)歳であった.形態としては紡錘型が6例,S状型が4例であり,内圧所見からはclassic typeが5例,vigorous typeが5例であった.【成績】アカラシア全症例において食道内圧検査では下部食道括約筋(LES)圧の著明な上昇を認め,食道蠕動波も消失していた.入院後,食道胃接合部直上と直上より1cm程度口側に各4箇所,計8箇所にボツリヌス毒素の局所注入を行った.局所注入後,自覚症状をスケール化(10段階評価,治療前の症状を10とする)したところ治療1週間後には,全症例において自覚症状の改善(治療後平均4.5)を認めた(p=0.000).また,食道内圧検査にてLES圧は治療前平均46.9mmHg(28-71)から治療後には平均29.1mmHg(12-63)まで低下した(p=0.017).以降,症状再燃時にはボツリヌス毒素の局所注入を繰り返し,治療効果は2013年6月まで全症例持続しており,良好な経過が得られている.現在まで副作用は全症例において経験していない.【結語】ボツリヌス毒素局所注入療法により,食道アカラシアの治療は可能であった.副作用も少ないことから,その適応は大いに広がると考えられた.
索引用語