セッション情報 ワークショップ1

アカラシアの治療戦略,治療の第一選択は

タイトル W1-9:

アカラシアに対する外科治療の現状と今後の方向性

演者 酒井 真(群馬大学大学院病態総合外科学)
共同演者 宮崎 達也(群馬大学大学院病態総合外科学), 桑野 博行(群馬大学大学院病態総合外科学)
抄録 【目的】近年,シカゴ分類の発表や,取扱い規約の改訂,POEM等の新たな治療手技の開発など,アカラシアの診断・治療における新たな取り組みがなされている.当科ではCa拮抗剤内服やバルーン拡張術などの内科的治療に抵抗性の症例を中心に手術療法を行っており,その治療成績について検討した.【方法】当科で手術治療を行った食道アカラシア45例を対象に周術期データや治療成績を解析した.【結果】男性:女性=20例:25例.平均年齢51.1歳.主な主訴は嚥下困難41例(93.2%),胸痛9例(20.5%).前治療は薬物治療およびバルーン拡張術がそれぞれ31例(70%),19例(43%).病悩期間は平均9.0年.拡張型分類は直線型36例(81.8%),Sg型8例(18.2%)(うちaSg型1例).拡張度分類はI度13例(29.5%),II度22例(50.0%),III度9例(20.5%).治療はHeller-Dor法(腹腔鏡下:42例,開腹下:3例)を全例に施行した.手術時間は平均232±54(150-347)分.出血量は平均29.3±45.0(1-248)ml.術後経口摂取開始は3.0±3.1(1-18)PODであった.手術死亡や術後合併症は認めなかった.術前平均LES圧は34.9mmHgであったが,術後は平均18.1mmHgに低下した.また術後内視鏡で逆流所見を認める症例はなかった.嚥下困難は26例で軽快,15例で消失した.胸痛は5例で軽快,4例で消失した.術後にCa拮抗剤の内服が必要であったのは,5例のみであった.前治療の有無別症状改善度は,前治療(+)11例:軽快9例(82%),消失2例(18%).前治療(-)34例:軽快21例(62%),消失13例(38%)であった.【結論】アカラシアに対する手術治療は合併症なく施行可能で全例で症状の改善を認めており,現時点で治療の第一選択として妥当だと考えられる.また前治療未施行症例でも症状の改善が得られており,内科的治療に抵抗性の症例のみならず,初回治療としての有用性も示唆された.
索引用語